タブレット端末が先生の敷居を下げた! ー 『「教育の情報化」推進フォーラム』での気づき
2015年3月6日(金)、7日(土)の二日間、『JAPET&CEC成果発表会 平成26年度「教育の情報化」推進フォーラム』が、国立オリンピック記念青少年総合センターにて開かれました。
JAPET&CEC成果発表会 平成26年度「教育の情報化」推進フォーラム
6日に開かれた分科会のうち、小学校のICT活用実践事例発表会を中心に参加し、いくつかの新たな気づきがありました。
地に足のついた実践がいっぱい!
以前「タブレット教育」幻想を捨て、適材適所で気軽に活用! 」という記事を書きましたが、なんとも偉そうなことを言ってしまったと感じさせられる、地に足のついた実践例を聞くことができました。
やはり現場の先生の考える実践は、「タブレットありき」なんかではない。ちゃんと、やりたいこと、やるべきことが先にあって、そこにタブレット端末の特徴がフィットするかどうかを考えた上で使っているということがよくわかりました。
もちろん、こうした場で発表されるのは優良/先進実践事例としてすでに認められているものなので、その陰にいくつものちょっと残念な実践もあるでしょうが、そこを指摘するより、いい実践を見ていくことが大切です。
お金がなくてもやっている!
研究校でタブレットがひとり一台あって、ソフトも導入できて……という恵まれた環境の学校ももちろんありますが、より心を惹かれたのが、環境が不十分でもできる!という気概を感じる事例です。
WiFi環境がなくオフラインで子どもたちは使っているという学校の実践例も複数ありました。設定だけオンライン環境で行いオフラインで使えるアプリだけを選べば問題ないわけですが、実際そうした制約の中で面白い実践をしている先生が沢山いることがよくわかりました。
また、Android端末、windows端末、iOS端末(iPad)の寄せ集めで頑張っている、という学校もありました。端末が混ざっていると一斉の活動には不向きだと思いますが、高学年の児童の自発的なプロジェクトを促した実践現場では、機器の特徴に合わせて自然に子どもが使い分けているというお話でした(長岡市立脇野町小学校 水谷徹平教諭発表より) 。
タブレット端末の登場が教員側の敷居を下げた
進行役の文教大学 今田晃一教授のコメントに、タブレット端末の登場で、学校の中でのコンピュータの位置づけが変わったのではないか、という趣旨のものがありました。
かつては「パソコンおたくの先生」の世界になりがちだった学校内でのコンピュータの位置づけが、その敷居を一気に下げ、機器に苦手意識のある先生によって実践される例が増えてきた、という指摘に、なるほど、ど思いました。モデルの変化です。
実際に、3年前まで「タブレットって何?薬のこと?」というくらい何も知らなくて、「できればICT機器になんて触れないでいたかった」という先生が、とても魅力的な実践の発表をされました(鈴鹿市立鼓ケ浦小 勝井まどか教諭発表より)。
特別支援教育担当になったのを機に、何かできないか、と模索している中で「タブレットがいいらしい」と聞いたところからのスタート。手探りの状態で、まず自分で購入してみたという、本当にゼロからのチャレンジ。
こうしてゼロから取り組む場合、パソコンよりタブレットの方がはるかに楽で、直感的です。
アプローチしやすい機器だからこそ、機器ありきではない発想で、豊かな実践が生まれやすいのだと思います。
子どもにとっての「簡単さ」ばかりに目がいっていましたが、教員にとってのアプローチのしやすさは大きなメリットだと実感しました。
特徴をがっちりつかんだ実践例
タブレットの特徴には
・携帯しやすい:どこでも使える。
・即時性が高い:すぐに確認ができる。
・可塑性が高い:すぐに消せる。すぐに足せる。
・動画や写真が簡単に扱える
といった点があります。
これらを上手に生かした実践例がいくつも出てきたので、具体的な例を、次回の記事でご紹介したいと思います。
タブレットならではの実践は、あちこちで増えていますね。