「教育DX 保護者カフェ」始めました〜第1回レポート

保護者視点で教育現場でのPC活用やデジタル化について話す会「教育DX 保護者カフェ」を始めました。

GIGAスクール構想で全国の小中学生に1人1台のタブレットPCが導入されましたが、教育のICT活用の話題はどうしても先生視点に偏りがち。保護者視点の声をもっと可視化したいと考えています。まずは、保護者視点で言いたいこと、知りたいこと、不安なこと、不満に思っていることなどを共有していきましょう。

<第2回は6月17日(土)10:00〜11:15 オンライン開催→事前申込はこちらから

第1回を2023年5月10日(土)にオンラインで開催したのでレポートします。この「教育DX 保護者カフェ」は、半オープンな場とし、オフレコの希望があるお話以外は、オープンにする可能性があることを参加者の方に了承いただいています。

参加者は、保護者の立場のみなさん5名とファシリテーター役の狩野。最初に狩野からGIGAスクール構想の概要について簡単な解説をして、その後は参加者の皆さんから順番に、テーマを投げかけ、それについての意見交換をして進めていきました。今回のレポートは、上がったテーマとその意見交換で出てきた話の要点をカジュアルな記録の形で紹介します。ICT活用度の異なる環境のみなさんの声が行き交いました。

ICT活用に積極的な公立小。3年前の1人1台導入で紙のドリルが完全に電子化されてすっきりしたのに、最近、紙のドリルが復活。子どもから紙にして欲しいという希望が出て変わったという説明だった。他の学校はどう?

  • そもそもずっと全部紙のドリル! 紙に書いて覚えることもあるから全部がデジタルでなくてもいいかもしれない。どちらもできたらいい。
  • 完全に紙。全然デジタルになる予兆もなかった。自治体は、文房具のようにPCを使うなどを掲げているけれど本気だと思えないことがある。
  • 全員いっせいにデジタルでなくてもいいかも。低学年か高学年かでも違いそう。

学校からの連絡が全部紙。連絡帳を書き忘れたりプリントを無くしたりすると保護者同士でLINEで写真を送ってもらったりしている。連絡事項をデジタル化してほしい。

  • ICT活用に積極的な学校で、全てデジタルで子どもが連絡帳を書いてくることはなく、宿題もデジタルで配信。親が宿題をチェックすることもない。全てがデジタル上でちょっと極端なほど。
  • きょうだいで違う。ICT活用に積極的な私立は連絡帳やプリントも全てデジタルで配信。子どもの特性上、整理がとても苦手なのでとても助かった。ICTを活用しない私立はPCすら未配布。

デジタル関係は、子どもの方が使い慣れている。先生が子どもに教えるだけでなくもっと子どもが先生に教えてもいいのに。リテラシーも大人が「教えてあげるもの」でなくてはだめなのか? スマホトラブルの注意点ばかりいくら言われても子どもには響かない。

  • 先生(大人)が教えないといけないと思いすぎている。みんなが同じ場所に立ってみんなで学ぼうという環境がない。
  • 先生が抱えこみすぎていて、保護者としてICT関連の手伝いを学校に申し出ても、お礼だけ言われて手伝わせてもらえなかった。きちんと段取りしてお願いしないといけないと学校側が思い過ぎている。
  • 先生はとてもまじめで一生懸命で、全部自分が分かった上できちんと教えなければいけないと思っている。全部自分でやろうと思わなくていいのに。
  • 保護者にはITスペシャリストもたくさんるような学校。コロナ休校の頃に保護者を巻き込めばあっという間に解決したようなことが全く進まなかった。
  • 先生が助けを求められないのは、根底に「平等であらねばならない」という意識がありそう。前例がないことにも学校は消極的。若い先生がやろうとすると管理職が止めてしまうこともあるらしい。

保護者のデジタル化が進むことが重要。家庭によって違いがある。PC持ち帰らせて欲しいという親、持ち帰らせないでという親がいる。先生も保護者に気を使う。学校側にも限界がありそう。

  • 保護者間の方針のちがい。テレビを見せない、スナック菓子は食べさせない、のように「PCやスマホは使わせない」という人もいる。
  • 保護者のリテラシーや、家庭のWi-fi環境ある/なしが違う。
  • 先生の忙しさはわかる。これ以上負担をかけられない感じ。
  • 学校のデジタル化を本当にするには、本当にデジタルシチズンシップを浸透させるには、保護者の意識を変える必要がありそう。
  • PTAの仕事から変えるのはどうか。デジタル化+ボランティア化した例:広報誌をブログ化して記事は寄稿者、写真提供者を募集した。

親にもMicrosoftやGoogleのアカウントが配布されるようになったら、連絡がスムーズになるのに。何かやるとなると個別のアプリばかりが増えていく。

  • 欠席連絡が電話かファックス。アカウントがあれば出欠管理も簡単なはず。
  • 親同士の連絡の基本がLINE。名簿もないからLINEグループとなりやすい。LINEなら使えるけど他はわからないという保護者もいて難しいかもしれないが、LINEはコミュニケーションしづらい。アカウントがあったらいい。
  • アカウントがあると保護者と先生のコミュニケーション手段になっていい。

不登校や行き渋り、特別支援などでは学びの補償としてICT活用が大切。当時者の保護者として、学校はPC持ち帰りをやっていないが、個別にお願いしてPCの持ち帰りさせてもらい家庭での学びに役立っている。

  • 私立でデジタルを全く使わない方針の学校。感染などで長期で休まなければならない時にキャッチアップする術がない。
  • 不登校でオンライン授業のようなことをやる場合、低学年は大変そう。

公立は1人1台をやっているけれど、私立は学校によってはデジタルが徹底的にゼロというと学校もある。よほど公立の方が進んでいるというケースもある。

  • きょうだいが、デジタルゼロの私立とデジタル積極的な公立に、ぞれそれ通っている。きょうだいの環境が全く違いギャップが大きい。
  • きょうだいで別の私立。デジタル積極的な学校とそうではない学校で全く環境が違う。
  • 同じICT活用に積極的な自治体でも、学校やクラスによって大きく違う。校長、担任の裁量が大きい。

以上、さまざまな声がありました。こうしてポイントだけ書き出すと少し味気ない感じがしますが、実際にはそれぞれのかかえている実感と「どうにかしたい」という前向きな気持ちのこもったお話ばかりでした。

全体としては、ICT活用が進んでいない状況の方が多いものの、中には、ICT活用先進地域での意外な傾向も。3年ほど非常に積極的にICT活用をしてきた学校で、手書きの力が落ちる傾向が見られるという話も出てきました。また、自治体や学校が掲げているICT活用スローガンと学校の消極的な実態にギャップがあるという声も。

最後に皆さんからの感想を聞いてみると、「自治体や学校によって違うことを実感」「PTAでもいろいろな意見をシェアしていきたい」「保護者同士のコミュニティは大切」「他の学校の話をきけて有意義だった」「学校も保護者も、まずやってみてうまくいかなかったら変えるという雰囲気が許されたらいいのに」「このメンバーでPTAをやったらすごそう!」などの声がありました。

確かに、保護者として学校のことを話すときに、他の学校の人と話すことというのはなかなかありません。まずは保護者としての思いをシェアするところからのスタートですが、回を重ねていきたいと思います。

第2回は6月17日(土)10:00〜11:15に開催します! ぜひご参加ください。

第2回のお申し込みはこちらのフォームから

次回は大きな事前テーマを設定せずに進める予定ですが、7月以降は、テーマを設定して行う予定です(例:特別支援分野でのICT活用、ゲームやりすぎ&動画見過ぎ問題どうしてる? など)。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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