学習者用デジタル教科書をようやく個人で購入!〜さらばCD、ようこそ音声読み上げ

英語の学習用に教科書の文字と音声を連動させたいと思って3年目。1年目はこのデジタル時代にCD購入(!)で遠い目になり、2年目はデジタル教科書に期待をかけるも個人では購入できず再び不本意ながらCD購入し、諦めてデジタル教材を自作するなどしてきました。そしてついに3年目!ようやく個人でデジタル教科書を購入しました!

個人で購入できるかどうかは教科書会社によって違う

先生用ではなく、児童・生徒側が使うデジタル教科書のことを「学習者用デジタル教科書」と呼びますが、これを個人で購入できるかどうかは、教科書会社によってまだ違います。中学校の英語教科書の場合「NEW HORIZON」の東京書籍は、2021年度の新学習指導要領切り替え時の新しい教科書から購入できるようになりました。例えば「NEW CROWN」の三省堂は残念ながら現時点で個人では購入できません。

「NEW HORIZON」の購入は、Lentrance(レントランス)という電子教材系のプラットフォームから。ちなみに教科書会社によって使用しているプラットフォーム(配信元やビューアー)は違います。プラットフォームがばらばらというのは、いずれ全教科で全員が使うようになるデジタル教科書の未来としては不安な要素のひとつです。

「教科書のみ」or「教科書+教材一体型」の違いに注意!

販売サイトで「NEW HORIZON」を探すと次の図のようにそれらしきものが2種類でてきます。左側の❶で囲った方は「クラウド版中学習者D教科書NEW HORIZON」、右側の❷で囲った方は「クラウド版一体型中D教材 NEW HORIZON」と書かれています。

購入画面では両者の違いがわかりづらい!

購入画面の画像と暗号のような名称では非常にわかりづらいですが、簡単に言うと、❶は機能限定版(紙の教科書と同等の内容+最低限の機能)、❷はフル機能バージョン(紙の教科書と同等の内容+最低限の機能+オリジナル便利機能)です。❶は❷に内包されるので、両方買う必要はありません。機能フルバージョンの❷を買うのがおすすめです。

「教科書」の定義を越えると「教科書+教材」扱いに

なんでこのように2つのバージョンがあるのでしょうか。実は「学習者用デジタル教科書」というのは、「紙の教科書と同一の内容をデジタル化」したものと定義されています。これに基本的な閲覧補助機能を備えるところまでが「学習者用デジタル教科書」と呼べる範囲。それ以外の機能や、動画、音声等のリソースは教科書ではなく「教材」という定義になり、それらが含まれると「教科書+教材」という扱いにしなければならないのです(→こちらの記事で深掘り)。

「+教材」の部分は問題集がついているのではなく、機能やリッチな補足資料と捉えた方が現時点では良いでしょう。

学習者用デジタル教科書
出展:「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン(改定案) 」(p5)。必ず元資料(→掲載ページ)より引用してください

私はこの知識自体はあったのに、購入画面の表紙画像と表記に戸惑い、さっと「教科書のみ」のタイプを購入してしまいました。内容をチェックしたら欲しかった機能が無かったことに気づき、慌てて「教科書+教材一対型」を買い直しました。

2バージョンそろって無駄に豪華になってしまった画面がこちら。なお、クラウド版ですから、PCにダウンロードするわけではなく、どのパソコンからでもWebブラウザでログインしてアクセスできます。

「本棚」メニューに購入済のものが表示されている

音声×文字の連動が実現!

実際に、「学習者用デジタル教科書」にはどんな機能がつくのか、少しだけご紹介しましょう。まず、デジタル教科書の紙面を開くと次の図のような感じです。A4サイズの教科書は見開きでA3ですから、紙のままのレイアウトでデジタル化された教科書というのは、A4ノートPCの画面サイズで見ると小さくした感じがします。GIGAで小中学が導入したPCはB5サイズくらいが多いので、さらにきゅっとした印象になるでしょう。薄いブルーで重なっているツール群を見ると想像がつく通り、拡大等の表示切り替えもあります。

開いたところ。ツール群を非表示にすれば紙面全体がスッキリ見える

「教科書+教材」タイプの場合、上の図の中で赤で囲ったアイコンをクリックすると、読み上げ機能が開きます。これが、待望の文字と音声が連動する機能。音声が流れながら、読み上げている場所をハイライトしてくれて、スピード調整等もできます。「教科書」のみタイプの方にも音声は収録されていますが、このような文字と連動して見せる機能はありません。

「NEW HORIZON」の読み上げ機能画面

こうした機能の実装具合は教科書会社によって最も異なる部分なので、これは「NEW HORIZON」の場合であり、会社によって違うと思ってください。「NEW CROWN」はデモを見る限り教科書本文のエリアでそのまま読み上げ機能が使えるようです。

この、文字をハイライトしながら読み上げてくれる機能が欲しかったので、ようやく使えるようになり、ほっとしました。さらばCD!

デジタルだからこその便利機能は使わないともったいない

これは、助かる人が多い機能だと思いますので、音声補助教材が欲しいなら、CDの代わりにとりあえず「デジタル教科書+教材」を試してみることをおすすめします。

スピーキングやリスニングの自習にかなり便利な機能ですから、学校でも、この機能のためだけにでも導入する価値があると思います。英語が苦手なお子さんは、慣れない英語の文章を見ても手がかりがなくて読めないことが、苦手感に直結するでしょう。文字が苦手なタイプのお子さんのサポートと似ていて、音と文字を連動させる手段はきっと助けになるはずです。

学校での導入は、国の実証実験で無償で試せるチャンスも増えます。イメージがつかめない場合、まず英語から導入するとメリットを実感しやすいのではないでしょうか。

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狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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1件の返信

  1. 2021-09-12

    […] ずはどんなものなのか参考にしてみてください。最後の部分でデータフォーマットに関する問題提起もします。<2021.9追記 学習者用デジタル教科書の購入&使用レポート公開しました> […]

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