楽譜の電子化とカンタン子ども向けGPS+自分オフィスブース〜2019EDIXレポート

教育分野のIT系展示会「第10回 教育ITソリューションEXPO」(EDIX)が2019年6月19日〜21日の3日間、東京ビッグサイトで開かれました。毎年いろいろな切り口でレポートしていますが、ICT toolboxでは、ちょっと珍しくかつ実際に使ってみたい!と感じるものを3つご紹介します。

なお、プログラミング系の今年の注目ツールに関しては、インプレスで書いていますので、ぜひチェックしてみてください。デザイン重視でロボット系教材を集めています。

では、さっそく始めましょう!

楽譜を電子化!GVIDO

GVIDO

本番中に楽譜が風で飛ばされるとか、めくろうとして落としてしまうとか、そういうことは、音楽をやっている人にとっては悪夢です。そして、たくさんの楽譜を持ち歩くのはけっこう重くて意外と大変。今は本を電子で読む時代。そうです、楽譜も電子化してしまおう!というのがこの「GVIDO(グイド)」。楽譜専用の電子ペーパーで白地に黒一色で表示されます。KindleがA4になって2枚つながっていてパタンと折りたためるようになっているとイメージしてみてください。

一般的に、楽譜は見開きA3(A42枚分)のサイズで作られているものがほとんどで、それを仮にiPadで表示するとしたら、小さくて見づらくなってしまいます。また、電子ペーパーなのでテカりがなく照明で反射することもない上、バックライトがないので目にも優しいそうです。

GVIDO

ページをめくるときは、楽譜面側の枠エリアに3箇所ある赤外線タッチスイッチに触れるだけ。そして、なんと別売りのフットペダルでページ送りができるので、譜めくり担当の人が必要な状況の演奏であっても、お願いせずに自分のタイミングで譜めくりができてしまいます。

また、標準でスタイラスペンがついてきて、もちろん楽譜への書き込みもできます。

GVIDO

GVIDO

楽譜という用途に特化して、電子ペーパーの技術を最適化したことで、演奏者だけでなくオーケストラ等での楽譜管理、また、楽譜の販売方法等、楽譜にまつわるあらゆる習慣を変える可能性があることに面白さを感じます。

値段的には180,000円(税別)と、それなりの金額ではありますが、牛革専用カバーなどもあって、ちょっと揃えたくなってしまうような上品テイストのラインナップになっています。クラシック業界は、楽器はもちろん周辺備品も確かな素材の高価なものが多いので、その視点で見ればターゲットに入ってくる方もいるのではないでしょうか。また、団体として楽譜管理を一気に変えるという可能性も出てくるかもしれません。

子どもに持たせるだけのお手軽安心GPS「みもり」

小学校に通いだすと子どもが今どこにいるのか、把握する手段がなくなります。かといって携帯を持たせるほどの年齢ではないし、学校への持ち込み許可もちょっと面倒そうです。その点、この「みもり」はキーホルダー感覚で子どものランドセルなどにつけておくだけのGPSで、保護者のスマホの専用アプリで居場所や移動ルートを把握することができます。

みもり

本体についているボタンを子どもが押すと、保護者のアプリにプッシュ通信がいきますが、わざわざ子どもがボタンを押さなくとも、あらかじめエリア指定をしておけば、そこに子どもが入ったときに保護者にプッシュ通信が送られます。学校や塾、習い事先などのエリアを指定しておけば、子どもの操作に依存せずに把握することができるというのが安心。なんせ子どもは「ボタン押してね」なんて約束を平気で忘れますから。

昭和的な感覚では、「子どもの居場所をいちいち管理するなんて過保護だし管理的」と感じるかもしれませんが、防犯意識や常識は大きく変化していますし、親も仕事をしていて家にはりついているとは限らない時代です。管理するつもりはなくても、子どもの安全把握のために安心材料としてGPSが欲しいと思っている方は多いのでは無いでしょうか。

今はPTAなどの主導で見守り用のカードシステムが学校に整備されていて、希望すれば利用できるケースも多いでしょう。ただし、子どもがカードをスキャンするタイプだと、子どもが登下校時に「ピッ」とスキャンするのを忘れたら、何の連絡も来ません。忘れっぽい子どもの場合、ただ「持っているだけ」のカードになってしまうことも多々あります。しかも、スキャンした時刻がわかるだけで、居場所が把握できるわけではありません。それらの点がこの「みもり」だと全てクリアできます。

みもり

本体は小さくシンプルなもので、子どもの負担感もなく、カバーは好きな色を選べるというのはうれしいポイントです。

初期費用が「みもり」本体と手数料で8,800円(税別)、月額料金が680円(税別)なので、手の出しやすい手段ではないでしょうか。個人で購入して始められるのもいいところ。キッズ携帯を検討し始めたご家庭で、まずはこの「みもり」から始めてみる、というのもいいかもしれませんね。

番外編:おうちで自分書斎ボックスが欲しいみなさんへ

タブレット充電カートなどでおなじみのMT-Planningが参考出展していたのが、こちらの「u&b」シリーズ。ゴロゴロと移動させて「ここが私のオフィス空間!」と言える小ブースです。狭くても自分の囲まれた空間があると落ち着くという方にはぴったり。広い家に住めたらこんなのを家の中でゴロゴロ移動させて、日当たりのいいところに移動しながら仕事したいものですが…………。現実には、なかなかそんな恵まれた住宅事情の方は多くないと思います。こちら、実際には家庭向けではなく、フリーアドレスオフィスで活用することをイメージして作られているということ。

MT-Plannning「u&b」

中に入ってすわってみると囲まれた感じがあって落ち着きます。背中側の形状からしてだらーんと寄りかかってリラックスというより、いい姿勢で集中して仕事を片付けられるような、いい緊張感が保てる感じです。適度なプライバシーと集中できる環境は確保しつつ、他の人の気配や視線も適度に欲しいという半オープンな気分で仕事ができそうです。ちなみに天井もぽこっと穴を開けるようにしてはずせるので、光や空調の通りを確保することもできます。

MT-Plannning「u&b」

どかんと広い倉庫的な空間をオフィスにアレンジして、この「u&b」ブースがいくつも置いてあって、ゴロゴロ好きな場所に移動して使うなんていうのが面白いかもしれませんね。

どれも、人の習慣やスタイルそのものを変えたり、影響を与えるようなものであるところがとても面白く、今後の展開が楽しみです。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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