画面なしで電子回路工作やプログラミング遊び!「Little Bits」「PETS」〜G7プログラミングラーニングサミットReport2

2016年11月12日(土)、G7プログラミングラーニングサミットが開催され、会場の早稲田大学西早稲田キャンパスの一角では、様々なツール群を自由に体験できるコーナーや、子ども向けのワークショップなどが行われました。今回はReport2として、自由にツールを体験できるコーナーからのご紹介です。(Report1はボードゲームを使ったワークショップについて

G7プログラミングラーニングサミット

自由にツールを体験できるコーナーでは、Minecraft Eduを始め、ナイトズーキーパーアルゴロジックTynkerCodeMonkeyなどが体験できるようになっていました。

それらの中で注目したいのが、PCやタブレットの画面を介さないタイプのツールです。

回路の仕組みで手軽に電子工作ができる「LittleBits」

回路の仕組みを手軽に使ってオリジナルの工作が楽しめるLitteleBitsは、その代表格と言っても言いかもしれません。

マグネットでぴたっとくっつき合う小さなパーツを自由に組み合わせて、スイッチを押したらLEDがつく……というような仕組みを簡単に作ることができます。パーツが豊富でかなり高度な仕組みまで簡単に作れるのが特徴で、アメリカ生まれですが日本では電子楽器で有名なKORGが輸入代理をしていることもあり、手作りシンセサイザーを作れるキットが販売されているほどです。

簡単な回路からスタートして、自分のアイディアを加えて工作すれば、からくりのある電子工作が簡単に完成!プログラミングではなくて「仕組み」系ですが、発想がぐんと広がる可能性があり、おすすめです。

電子工作ツールLittle Bits

写真は今年の教育ITソリューションEXPOの時のもの

LitteleBits

本体に直接ブロックパーツを挿してプログラミングする四角いロボット「PETS」

そして、今回初めて出会ったのがこちらの「PETS」。木製の本体の上部に開いた穴に、矢印などのマークが入ったブロックパーツを挿してセットすることで動きをプログラミングすることができます。本体の実行ボタンを押すと、格子状のシートの上を指定の通りPETS本体が動いて進んでいくわけです。シートの上に障害物やアイテム、ゴールを設定して目標達成のための動きを作ります。

本体に直接ブロックパーツを挿してプログラミングする四角いロボット「PETS」

本体に直接プログラムのパーツを差すので指示側のスペースが限られている印象を受けますが、実は、サブルーチンを設定して、それを呼び出すこともできるようになっているのには驚きました。画面を一切使わないので、動きをプログラミングする、物が指示した通りに動く、ミッションをクリアするために考える、ということをより直感的に体感できます。もちろんご覧の通り、文字なんて読めなくて大丈夫。

PETSの企画販売をしているfor Our Kidsの方にお話を聞いたところ、もともとは、Tokyo Motion Control Network(TMCN)という、センサーやデバイス系の個人ネットワークコミュニティの中で、子ども達がもっとこんなもので学べたらいいね、という取り組みから生まれた発想がベースにあるのだそう。リアルに自分の子どもをイメージして作られたものという点では、Report1で紹介したRobot Turtlesとの共通点を感じました。独自のワークショップでの活用が中心だったものの、現在先行予約販売がされています(11/30まで)。完成品の購入ではなく、組み立てKITということですから、これをハードルが高いと考えるか、物作りの醍醐味!と楽しむかは受け手の気持ちとモチベーション次第ですね。

PETS

今回のイベントとは関係がありませんが、画面系ではないロボットタイプのものでは、Cubet(キュベット)というツールが、とても洗練されていて、気になっているところ。木製の操作盤に木製のブロックをはめてプログラミングして、キューブ型のロボット本体を動かします。子どもがリアルに触って取り扱うことを考えて形や質感が設計され、世界に入りこめるよう導入や課題のストーリーがデザインされている印象です。まだ現物を見たことはありませんが、現在日本での予約販売も受け付けています。

Report1で紹介したRobot Turtlesのような完全に電子機器ではないツールや、LittleBitsのようなパーツ型、PETSのような単体型が増え、子ども達が画面を介さなくてもプログラミングの世界に触れられるようになってくるのは間違いありません。プログラミングが特別難解なことではなく、入り口はちょっとした思考パターンの訓練でしかないこと、そして、それはアイディアを実現するためのものであることが、もっと普通に受け止められていくようになるはずです。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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2件のフィードバック

  1. 2016-11-21

    […] レポートPart2では、画面を使わないパーツ系、単体ロボット系のツールをご紹介します! […]

  2. 2017-05-20

    […] アーテックのロボット教材をはじめとしたこれまでにご紹介した教材群は、それぞれ少しずつ新しいラインナップが増え、進化を見せ、一番元気がある印象でした。また、KORGが輸入代理するLittle Bits、ソニーのMESH、など回路系、センサー系は、派手さはないものの安定的な存在感。これらは学校現場での注目度が低いように思うのですが、自分のアイディアを仕組みとして作り上げる経験ができ、図工との親和性も高いので、これからもっと子ども向けの教材としても注目されて欲しいところです。 […]

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