漢字使用率アップに効果大〜漢字が苦手な子への対策は「覚えないでいいから使う!」

夏休みの宿題の定番である読書感想文だけでなく、子どもは学校で文章を書く練習をいろいろな場面でします。漢字の定着が遅い傾向にある子どもがこういう長い文章に取り組むと、もう、びっくりするほど平仮名だらけになります。

「漢字が苦手な子」は本当に仕方なかったりする

書字障害と診断されるほどのはっきりした特徴までは無いのに「なんだか文字を書くのが苦手」な子の場合、全く覚えられないとか全く形が取れないとかそういうわけでもない。わかっているのにやっていないようにしか見えないので、手を抜いているとかなまけているようにしか見えず、周りも困惑するものです。

なぜ苦手なのかというポイントは、図形認識力が弱めだったり協調運動が苦手だったり注意欠陥傾向だったり、もしくはそのどれでもなかったり、おそらく人によって相当違いがあり、その度合いも様々でしょう。「なんだかよくわからないけど苦手」で、本人も周りも困っていて、本人の特質にあった練習方法もなかなか見つかりにくいものです。

はっきりしているのは、標準的なペースでは定着しないということだけ。
そして、同じ漢字を10回ずつ書くような練習をしてもあまり効果が出ないばかりか、嫌いになる気持ちを加速するだけで、おそらく苦手意識だけが増加して悪循環に陥ります。

漢字対策、覚えなくていいから使えるようになろう!

今回は、そんな「漢字が苦手な子」の部類に入る子どもと一緒に、夏休みの作文に取り組んだ時の方法をご紹介します。

覚えなくていいから使おう!!!

彼は、読めるけど、書けない、覚えられない、定着に時間がかかる、反復練習をする気持ちになかなかなれない、というタイプ。高学年になるにつれ、学ぶ漢字量に使う漢字が追いつかず、「ひらがなだらけ」が目立ってきました。
でも、文章にして表現すること自体への意欲はあって、抵抗感はありません。

せっかくの「文章を書くということへの意欲」だけはつぶしたくありません

とはいえ、ひらがなだらけというのはいがいとくぎりがみえにくくて、ほんとうになかなかよみづらいわけです。そしていざがんばってかんじをつかおうとしてみてもあたまにはいっていないからでてこない。さらにごじだつじだらけになるというげんじつ……。

そこで、私からひとつの提案をしました。

「スマホで漢字調べていいよ。だから、文章を読みやすくするために漢字を使おう」

実はこれだけ。これでびっくりするほど効果がありました。

漢字を調べげ大きく表示できるアプリならなんでもOK

使ったのは「常用漢字筆順辞典」というアプリ。このアプリに限らず、検索がしやすく大きく表示されるアプリなら気に入ったものでよいでしょう。

漢字対策、覚えなくていいから使えるようになろう!

「漢字検索」で手書き入力せずに右上の「キーボード」をタップするとテキスト入力で検索できます。わからない漢字の単語を入力し、候補が出たらその漢字をタップして大きく表示し、筆順等を確認できます。

ポイントは、入力も極力楽にすること。音声入力がベストでしょう。子どもは私がアドバイスするまでもなく、手入力する代わりに音声入力ボタンをタップしてスマホに話しかけていました。

「カイギシツ」とスマホに話しかけるだけで、苦手な「議」を見つけられました。

「文章を書く」を優先事項に。集中できる環境を作る

これで、学年として書けるべき漢字の1割くらいしか漢字を使おうとしなかった子が、ほぼ10割の使用率で、自分から喜んで漢字を使って文章を書くことができました。

「仕方なく」ではなく、本当に「進んで」。習ってない漢字まで使おうとするので逆に困ったくらい、この効果は絶大でした。

作業スピードや認知の処理スピードが遅い子というのは、紙の辞書も引けますが、ひとつの漢字を辞書で引いているうちに頭の中の文章モードが途切れてしまいます。引くスピードも遅い。もうそこでアウト。頭の中を文章モードのまま突き進むには、平仮名と簡単な漢字でしか書けない。

文章を書くときは、「文章を書く」こと以外は「ラク」にしてあげる必要があるわけです。

この場合、漢字に関しては「(大好きな)スマホで音声入力ですいすい調べらばいい」と、負荷を小さくしただけで、「文章を書く」に加えて「漢字を使う」も同時に実現することができました。

同じ文章でも、漢字が増えただけで、びっくりするほど読みやすく、高学年らしい文面に見えてくるため、それを自分で客観的に見るとまた満足感もアップし、意欲にもつながります。これでようやく好循環が成立です。

暗記を先延ばしにしてでも「使って前に進む」

漢字を覚える定着のために、それはそれとして別に対策する必要はあるでしょう。でも暗記が苦手な子にとっては、どう工夫してもかなり時間がかかります。

だから、「覚えていなくても簡単に使える」環境をとりあえず作る……そうやって文章で使っているうちに、いつの間にか覚えてしまう漢字もあるかもしれません。

実は「九九」も同じ考え方で乗り切っていて、九九の暗記が完了しないまま、割り算が始まったときに、「九九表を使っていいから割り算をやる」と考え方を切り替えました。これで、最終的には暗記のモチベーションも上がり、九九表無しで計算ができるようになりました。

キャパシティの小さな子どもには、そういう優先事項の整理をすることが重要で、けっこうな効果を生むと実感しています。それは決して甘やかすことでも手を抜くことでもありません。むしろ、周りは辛抱強く見守る必要があるし、少しずつ負荷を上げていく必要もあり、フォローには手間のかかることです。

ICT機器は作業負荷を減らすのが得意

この漢字アプリ対策は、家庭での親視点での取り組みなので、学校で大勢の暗記ができる子どもたちにまで、この方法を使うのが良いとも思いません。学校の先生や学校現場からしたら、「そんなやり方は……」という意見もあるかもしれませんが、子ども目線&親目線でのひとつの解決策ということでご紹介しました。

学校でも特別支援系の現場であれば、こうした特性に合わせて負荷を減らすような対策はすでにいろいろ試されているだろうと思うので、こんなやり方も馴染むでしょう。

夏休みのあと、学校の中でまでこんなやり方をしているわけではありませんし、これがきっかけで漢字好きになったり得意になったわけでは決してありません。ただ、宿題で家で文章を書くときには、「お母さんスマホ貸して!」と言って自分で調べるくらいには、漢字を使うことに積極的になりました。

そんな風に、一部の作業負荷を減らすことがひとつの目的を達成することのプラスになる場合もあって、ICT機器ってその対策にとっても便利な道具だという一面を、ぜひ知ってほしいな、と思います。

狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブやアプリのデザインを中心に制作全般を担当。ライターとしては、技術書籍の他、ICT教育やプログラミング教育について執筆している。著書に技術系で「見た目にこだわるJimdo入門」、子育て系で「ふたりは同時に親になる 産後の『ずれ』の処方箋」。

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