ウェブ連絡帳『Kidsly』学校用SNS『CLASSTING』〜教育ITソリューションEXPOレポート[ソフト編]
2016年5月18日〜20日に開催された第7回教育ITソリューションEXPOのリポートの第二弾としてソフト編をお届けします。
前回のハード編、そして、次回はロボット工作&プログラミング編を予定していますが、今回はソフト編として、ふたつのコミュニケーション系ツールをご紹介します。
待ってました!連絡帳のウェブ化〜Kidsly
まずはこちら、Kidsly(株式会社リクルートマーケティングパートナーズ)というサービス。保育園の連絡帳機能をウェブ化/スマホアプリ化したものです。管理側はPCで、保護者はアプリで、登降園連絡、連絡帳、保育の様子を知らせるアルバム管理、個別連絡などができます。
登降園関連の連絡は特に、保護者も園側にも、業務負担をかなり減らせそうです。手で書いている連絡帳がアプリに変わったら「冷たく」コミュニケーション不良に陥るかも、と心配する方もしれませんが、それはむしろ、今の時代の働くお母さんの実情からすると逆でしょう。
スマートフォンで書く方がむしろ敷居が低い人も多いはず。なんといっても写真添付もできるので、「家でこんなことしました」という写真での報告もできます。そしてスマートフォンのアプリだから、移動中にチェックしたり書いたりもできるという便利さも。
保育園の先生方も最初だけはPCでの入力を面倒に思うかもしれませんが、慣れればその効率の良さに業務負担がグンと減ることに気づくはずです。
また、保護者が別の家族を招待できるのもポイント。紙の連絡帳を見る習慣がないお父さんだとしても、移動中にアプリで確認できたら意識が変わるきっかけになりそうです。
もちろん保護者のデバイス格差などを考えたら導入の難しさは常にありますが、保育園は小学校等に比べたら
・小規模
・個別連絡を密にする必要がある
・親が仕事をしている=スマートフォンを持っている率が比較的高そう
など、導入しやすい条件がそろっています。アプリを希望しない保護者とは従来通り紙の連絡帳を継続すれば、現実的です。
保育園側よりも、むしろ忙しいお母さんの方が「お願いだから保育園の連絡帳をアプリ化して……!」と切実な思いを抱えているかもしれません。そんな場合は保護者から保育園にこんなサービスを紹介してみるのもいいかもしれませんね。
利用料は無料。現在保育園紹介キャンペーンもしています。
保育園以外でも密なコミュニケーションに役立つ可能性
実はこの種のサービス、小規模な組織で親と先生の連携が重要なところにはそのままフィットすると思います。親と教員が子供について非常に細やかなやりとりを日々することが、子どもの発達にとって大切なキーとなる現場は、保育園だけではありません。
例えば特別支援教育の現場では、指導の単位は個人で、学校と親の連携は欠かせません。親の負担も先生の負担も大きくなります。コミュニケーションの「手間」が軽減され、むしろそのおかげで活性化するのは本当に大切なことでしょう。
ちょうど今年の3月の日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)主催ICT夢コンテストで、特別支援学校でまさにデジタル連絡帳をアプリ化する試みと実践をされた先生の発表を聞き、大変印象的でした。特別支援ICT研究会(中川宣子代表)によるもので文部科学大臣賞を受賞しています。
非常に効果的な試みで大変価値があると感じる一方で、アプリが配布や販売の段階まではきていないという現実には難しさも感じました。
こうしたツールは「省力化のために必要」なだけではなく「コミュニケーションを促進して教育効果を上げるために有用なもの」と捉え、どんどん現場に導入されるのが大切だと思います。
こちらは学校向けの連絡帳!〜CLASSTING
さて、こちらのCLASSTING(クラスティング株式会社)は、学校向けのSNSサービス。
SNSと呼ぶとイメージがわきにくいかもしれませんが、学級通信や学習用教材をクラスで簡単に共有したり、公開範囲を決めたやりとりができるようになっています。先生へ個別相談をする機能もあり、子どもから先生への窓口のひとつにもなりそうです。出欠連絡などの事務的なツールとしても使えます。
このサービスを作ったClassting, Inc.は韓国のスタートアップ。ブースにいた方のお話では、韓国の小学校の8割で使われているとのこと。2015年には日本法人ができ、高校などを中心に200校程度の導入実績があるそうです。無料で利用でき、アメリカ・中国などでも展開しています。
組織が学校に近い構造なら使えると思うので、習いごとや学童保育のような準オフィシャルな組織での導入が、むしろ日本ではうまく、はやく進むような印象を受けました。
日本、ちょっとまずいのかも……という実感
実は、CLASSTINGの説明の「韓国の小学校の8割が導入」のところで思わず聞き返してしまいました。
日本の小学校でもしこのサービスを学校に導入しようとしたら、いろいろな懸念の方が先にたってなかなか進みそうもありません。デジタル化のスピードが圧倒的に遅い学校の現実を見ていると、韓国の8割導入という数字は驚きです。学校でこういうツールを導入することに対する障壁のレベルの違いを感じさせられます。
EXPO全体の印象として、特に気になったブースを思い返すと、同様に韓国の会社だったり、日本の会社は販売代理店で製品は別の国のものだったという率が、どうも、高い気がしています。
もちろん展示会のメインのスペースでは、日本の大きな会社が大きなブースをかまえて派手にやっています。でもここで扱っているのは「大きくて硬いもの」か、堅実路線の電子教科書が多く、特にサービスやソフト面での日本、ちょっとまずいのかも、元気がないかも、遅れているのかも、と、じわりと感じさせられました。
導入の敷居が低いサービスは現場から変えていくにはぴったり
今回ご紹介したサービスはどちらも、無料で「登録するだけ」の導入の敷居が低いサービスである、ということも重要なポイントです。大きなパッケージとして自治体や学校がトップダウンでしか導入できないような規模の校務系システムではなく、サービスの提供される形も変わってきています。
現場から変えていくチャンスでもあると思うので、小さな単位から試用してみるのも良いかもしれません。
狩野さん、投稿ありがとうございます。
Classting 日本マーケティングマネージャーのダヒと申します。
この度は、Classtingについてご紹介いただき、誠にありがとうございます。
Classtingは安全な教育SNSを目指し、教育機関であれば、誰でも無料でご利用いただけるサービスです。これからも教育現場の声やアドバイスを大切にし、全力で取り組んで参りたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
ダヒさん、コメントどうもありがとうございます。
こうしたサービスがもっと普通に活用されるようになると、いい意味で省力化でき、コミュニケーションも活発になってくるのではと感じています。応援しております。
(ICT toolbox狩野)