気分は映像ディレクター!映像編集体験ツール〜NHK クリエイティブ・ライブラリーに注目

幼児がYoutubeを当たり前に見て口調を真似したり、小学生同士で「昨日のテレビ番組」の話題ではなく「◯◯で有名なYoutuberの映像」の話題で盛り上がるのが、今の時代のリアルな光景です。個人が文章や写真だけでなく映像で表現し発表をする敷居はうんと下がりました。

文字を使って作文で書くように、映像を編集してムービーをつくることも「表現」のひとつとして当たり前になりつつあります。

映像編集は敷居が高いor簡単すぎの二極化

ところが映像編集というと、ちょっと敷居が高い。専用の映像編集ソフトで素材もイチから準備して……ということをやるのはそれなりの時間とパワーを要します。実際の映像編集表現に入る前の学習コストが高く、工程もふくらみがちです。

一方、最近はアプリで、テンプレートに合わせて手持ちのビデオや写真を選ぶだけで、ほぼ自動でおしゃれでかっこいいムービーを作ることもできます。簡単に素敵なムービーが完成するのは確かに便利ですが、その分、意図やメッセージを考えずに「なんとなく」できあがったものに満足してしまいがちです。

洗練されたかっこいいムービーにならなかったとしても、映像、文字、音楽をどう組み合わせて何をどのように伝えるか、という意図を持って試行錯誤するほうが、「表現」の練習になります。

ウェブ上でできるおすすめ簡単編集ツール

そこで、手軽に映像編集体験をするのにおすすめしたいツールがこちら。

NHKクリエイティブ・ライブラリー

気分は映像ディレクター!映像編集体験ツール〜NHK クリエイティブライブラリーに注目

これは、ウェブブラウザ上で映像編集が楽しめるサイトです。既に用意された素材クリップを自由に選んで並べたり切り取ったり、文字を重ねたり、音を重ねたりしてショートムービーをつくることができます。

素材クリップは豊富。NHKが所有する映像から、動物や自然の風景、恐竜などのCGなど素人が簡単に入手できない貴重な映像が提供されています。どーもくんなどのアニメーションもあり、素材映像と重ねて「共演」をさせることもできます。

自分が撮影したビデオを編集できるわけではありませんが、静止画なら自分の手持ち素材をアップロードして使用することも可能です。

編集はかんたん

「作品をつくる」メニューの画面から「フリーテーマ」メニューを選ぶと何もない編集画面からスタートできます。

ムービーも音素材も下のタイムラインにドラッグして配置するだけ。配置した素材をクリックすると使う長さの調節などができます。

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編集画面の使い方はこちらを参考に。
NHKクリエイティブ・ライブラリー「編集ツールの使い方」

編集画面の「素材ムービー」の欄に映像クリップを表示させるには、「素材をさがす」メニューから気になる映像を再生する必要があるのが少しわかりにくいところ。また、一旦編集を始めてから他の画面へ行ったり来たりすると編集内容が消えてしまうことがあるので、少し注意が必要です。洗練された動画編集ソフトに比べれば少し使いづらさやクセはありますが、十分編集作業を楽しめます。

はじめの一歩。次へのステップとして

できあがった映像作品は、残念ながらダウンロードすることはできません。その代わり、その場で簡単な登録内容で「公開」できるので、こうすれば、あとで見返すこともできます。ただしインターネット上で完全にオープンになるので、公開したくない作品は、その場で完成状態を見て終わりです。

このあたりに不自由さを感じる人もいるかもしれませんが、それは、次のステップと考えて、このサイトで公開するのを前提に作った方が楽しいでしょう。

今回ICT toolboxで作ってみた作品はこちらで公開してあります。
NHKクリエイティブ・ライブラリー「作品を見る」(『アフリカゾウの紹介』ICT toolbox作)

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※このページ上では再生できないのでリンク先のページでご覧ください。

「作品をつくる」メニューには募集テーマがいくつか設定されているので、テーマにそって作品作り→公開→他の人の作品も見て比べてみる……という流れで表現の工夫を楽しむといいでしょう。

尚、技術的な問題で(flashを使用)、スマートフォンやタブレット端末では編集機能を利用することができません。インターネットにつながったパソコンのみで利用できます。

上級者には素材クリップだけの利用も

豊富な素材クリップの中から好きなものをダウンロードして利用することもできます。

別のツールで編集している自分のムービー作品に入れたり、教室での学習教材に使ったり、プレゼンテーションの一部として使うなどもできるでしょう。その場合、「利用のルール」をよく確認して、用途、著作者名の表示など違反の無いようにしましょう。

教材としての可能性

家庭で楽しむのはもちろん、学校現場でも例えばコンピュータ系のクラブ活動でテーマ設定をして動画作成をしてみるとか、限られた時間でコンパクトな体験をするにはとてもよいツールです。

こちらには小学校〜高校の実践例も紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
NHKクリエイティブ・ライブラリー「学校で、ご家庭で、クリエイティブ・ライブラリーを使ってみませんか?」

スタジオパークの体験コーナーと同じ!

実はこれ、NHKスタジパークの見学コースにある「クリエイティブラボ」で制作体験できるものとほぼ同じものです。家にいながらにして映像ディレクター気分で制作体験ができるというわけです。

先日のゴールデンウィーク中のスタジオパーク子ども向けイベントでは、これを小さい子でもできるように工夫した体験コーナーがありました。素材クリップや音素材を1素材1枚カードにしてあり、子どもはカードの山の中から好きなものを選びます。専用の台紙に音と映像を好みの順番で並べるという「編集」をすると、並べた通りの順で再生されるひとつの作品が出来上がるというもの。

紙のカードですが、タブレット端末の専用アプリでかざせばAR技術で「カードの中身」の映像や音を確認できるようになっています。台紙に並べたあともタブレットをかざしてムービーの出来具合を再生して確認。その後公開までできるようになっていました。

画面内作業ではない方法で、自分で編集した気持ちを味わうことができるのは、小さい子どもにはとてもいい試みでした。

これからどんどん、アナログな作業とデジタルの処理の境目が透明になっていきます。同じことが画面の外でできるこんなアイディアには大きな可能性を感じます。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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