昨年の「教育ITソリューションEXPO」雑感
今年も5月に、東京ビッグサイトにて「教育ITソリューションEXPO」が開催されます。教育現場のICTツールを概観するにはまたとないチャンス、興味のある方は是非お出かけになってはいかがでしょうか。
昨年5月、このEXPOを見に行ったのですが、その時漠然と感じた違和感が、このICT toolboxを立ち上げるきっかけのひとつになりました。
その違和感はというのは、
「なんだか全体的に、お金の匂いがする……」。
もちろん、商談や宣伝の場であるEXPOで「お金の匂いがする」のは当然なのでしょうし、大きなお金が動かせる人同志で話が成立することは重要でしょう。ただ、その「教育市場で商売する」というムードを、出展されているモノの「質」の方にも少し感じてしまったのです。
例えば、たまたま見た電子黒板のデモの中には、クイズ番組のような雰囲気になってしまっていて、とても教室で子どもが学習するところをイメージできないものも。売りたい製品を担当者が形だけプロモーションしているだけで、「いい授業づくりのために考え抜いて作った」というような本気の開発思想やポリシーは残念ながら伝わってきませんでした。
電子教科書のようなデジタル教材の中には、「動いたり音が出たりしたらすごいでしょ、わかりやすいでしょ」という安易さで素材が詰め込まれただけ、というものがあり、「マルチメディア」が新しくて「インタラクティブ」がものすごいことだった時代の遺物のよう。しかもそれがまだ展示用デモバージョンということは、リリースされる頃には生きた化石化してしまうんではないかと不安です。
そして、学習ソフトには、「とりあえずゲーム化」して、「子どもに人気のキャラクター」を登場させれば、「子どもは喜び学習効果が上がるだろう」というあまりに安直な発想で作られたように見えるものもありました。
もちろん、面白くて可能性を感じるツールにも出会ったものの、全体としては、なんだかリアルな教室と関係ないところで展開している「現場不在」な印象の方が強く残ってしまい、消化不良のような、物足りないような気持ちで帰路についたのです。
いいものは、本当に手をかけてよく考えて作られているはず……。
莫大なお金をかけなくても、小さなことから始められる、ICTツールの活用方法があるはず……。
ICT toolboxでは、そういう手元の小さな日常の感覚を大切に、等身大の視点で、情報発信していきたいと思っています。