今「MESH」が面白い!〜発明体験ワークショップ/イベントレポート
この消しゴムのような四角い物体、いったいこれで何ができるのでしょうか。これが今回の主役、MESH™です。
ソニーの新規事業創出プログラムから生まれ、今年7月から日本とアメリカで発売されたばかりのスマートDIYキット……と聞いても何やらよくわかりませんね。
今回は、2015年7月18日(土)、お台場のソニー・エクスプローラサイエンスで開催された「「MESH」ワークショップ」〜身の回りのものを使って楽しく“発明体験”してみよう!〜」の様子をレポートしながら、このMESHをご紹介したいと思います。
MESHって何?
まずは簡単にMESHの説明をしておきましょう。
色違いのこの4つの物体、MESHタグは、それぞれが別の機能を持っています。ブルー「動きセンサー」、グリーン「ボタンスイッチ」は、「◯◯が起きたら」を判断できる入力系。オレンジ「LEDライト」は、「◯◯をする」の出力系。グレーは、ちょっと上級者向けで、他のセンサーやモーターをつないで入力系としても出力系としても使うことができます。
タグ同士は無線で通信しあって連携できるので、例えば、ブルーのタグが動いたら、オレンジタグのLEDライトがつく、とか、グリーンのタグのボタンを押したら、グレーのタグにつないだモーターが動く、とか、そういうカラクリを作ることができるのです。
で、このカラクリをつくるのが、タブレットで簡単に操作できる設計図。MESHキャンバスというアプリで、プログラミングと意識せずに、タグ同士の連携した仕組みを作ることができます。タグをタブレット本体のスピーカーや、マイク、カメラなどの機能と連動させることもできます。
とはいえ、ブルーのタグを手に持って動かしたらオレンジのタグのLEDが光った……としても、それだけでは面白くありません。ここからが発想のしどころ。
例えばこのブルーのタグを、両面テープでゴミ箱のフタにつけておき、オレンジのタグを別の場所に置いておいたらどうでしょう。これだけで、「誰かがゴミを捨てたらライトが光って教えてくれる」カラクリの完成です。
子どもたちの発明スタート!
ワークショップの冒頭、MESH開発チームの飯村剛大さんが「MESHハカセ」として登場し、こんなMESHの基本コンセプトを説明していくつかの活用アイディアを子どもたちに見せます。
子どもたちはとっても楽しそう。そして難なくコンセプトを理解して、簡単なサンプル作りに取り組みます。
ひと通り使い方を経験したところで、自分のアイディアで自由に発明する時間となりました。会場には日常生活に使ういろいろなものがたくさん並べられていて、そこから好きなものを使って何を発明してもいいのです。何かをちょっと便利にする、パワーアップする、グレードアップする、 そんなミッションのもと子どもたちは動き出しました。
小3〜中1までの子どもたちがふたりひと組で取り組みます。スタッフが各グループについているので、MESHキャンバスアプリの使い方は、随時サポートしてもらいますが、どうやらあっという間に子どもたち自身が理解して、どんどん自主的に進めている様子。
発明は、ふたりで同じアイディアに取り組むグループもあれば、それぞれ個人で好きなものを作る子どもたちも。迷うというより、もう、すぐにやりたいことが思いついてどんどん手を動かします。
その様子を見ていて感じたのは、これはもう、やっていることが工作そのものだな、ということです。子どもの目の前には、MESHタグとハサミとセロテープと紙コップとサインペンと色紙とひもとモーターと……全部がごちゃごちゃに全く同等に並んでいて、それらは工作のパーツでしかありません。
その感覚って本当に大切だと思うのです。簡単に「機能」を組み込めるパーツを手にした子どもたちが、普段の工作の延長線でアイディアを練っていく……作りたいもののアイディアを形にする、という「もの作りの思考回路」でアプローチできることはとても大切です。
さぁプログラミングをしよう、といってプログラミングを「お勉強」するのとは全くスタートが違います。
電子工作、というアプローチだと、これはちょっとだけ敷居が高くなります。ArduinoやRaspberry Piなど、基盤むきだし系の電子工作が、年齢的にも気持ち的にもちょっとハードルが高めであるとするなら、触ったら危なさそうな感じやとっつきにくさを、全部この消しゴムシェイプに閉じ込めて気軽に触って使える「工作パーツ化」したのがMESHなのでしょう。
続々、発明?が完成!!
思い思いの発明を進める子どもたち。やはりモーターは人気でいろいろなものがクルクルとまわってあちこちで「開発」が進みます。
日常をちょっと便利に、という「発明」コンセプトをとらえたアイディアもあれば、楽しいからなんでもいいよね!という工作のワクワク感が純粋に伝わってくるものも。
時間の終了ギリギリまで、発明品作りに集中して手を動かしつづけている姿が印象的でした。
最後にアイディアシートに今日の発明品をスケッチして、終了です。
今回のワークショップ、実は引率している保護者の「お父さん率」が圧倒的に高く8割ほどをしめていました。お話を聞いた方は、お父さんご自身がメルマガ等でワークショップを見つけたのがきっかけだったとのこと。子どもと相談して申し込んだ方、こういうものはとりあえず触らせてみよう、とあえて何も言わずに申し込んで連れてきてみた、という方。
親がふたりいれば、母親の網にひっかかるもの、父親の網にひっかかるもの、それぞれ違います。いろいろなタイプの網が、子どもが何かと出会うきっかけになったらいいな、と改めて感じました。
ハカセからのメッセージ
最後に「ハカセ」から、こんな主旨の話がありました。
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今日みなさんが取り組んだ発明は、違う言葉でいうと「イノベーション」。
どうしたらもっと便利にできるか、と、「課題解決」をする考え方を身につけていって欲しいと思います。
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この「考え方を身につける」というあたり、すごく大切です。
高度な機能を簡単に追加できるパーツを手にした子どもたちが、「機能を組み込む」というハードルが下がった分だけ、「課題解決」のアイディアを考えることにストレートに入り込める、そういう可能性を持っていると思うのです。そういう課題解決思考が育って欲しいというMESH開発チームの想いを、ぜひ、見守る側の親としては頭の片隅に置いておきたいと感じます。
もちろん、大人もいろいろ発明して楽しめること間違いなし!
MESH、これから大注目のツールです。
MESHの公式サイト(英語のみ)
SONY「First Flight」のMESH販売ページ(日本語)
MESHキャンバスアプリはiOSのみ対応です。
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[…] 以前イベントレポートでもご紹介したソニーの「MESH」が進化しています。 […]