CDラジカセを徹底的に分解!!仕組みが見えるソニーの夏休み親子ワークショップ
本物のCDラジカセを分解できるというワクワク感満点の夏休み親子イベントが8月、ソニーシティみなとみらいで開催されました。これはソニーグループの教育プログラム「CurioStep」の一環で行われた夏休みワークショップのひとつ。MESHやtoioなどソニーグループのプログラミングを体験できる製品を使ったワークショップなど「創る」ワークショップが多い中、「分解」というのはいわば逆回転の内容です。
「分解」は破壊ではない!
会場には懐かしのCDラジカセが人数分ずらりと並んで参加者親子を待っています。入ってきた子供たちは、本物の電化製品とたくさんの工具に期待感が高まっている様子。
ワークショップが始まると、ソニーの「分解博士」が登場し、分解の注意点などを伝えます。3人の博士は実はソニー株式会社の本物のエンジニアで、それぞれの専門分野で製品の開発に携わっています。博士からは「破壊ではなく分解です!」と、「壊す」のではなくネジを外して丁寧に「分解」していくことや、工具の使い方の説明がありました。また、大切な約束として、「家庭では、感電や火災、怪我などが危険なので分解しないでください」という注意がありました。
カセットテープなんて初めて……
まずはどんな動作をするものなのか、カセットテープとCDを実際に再生して動作確認してみます。今の子供たちはカセットテープなんて知りませんから、入れ方もいろいろな向きや場所を試しています。なかにはケースごと入れようとしている姿も。確かにわからなくて当然です。中にはCDも初めてで「DVDしか知らない!」という子もいて、音楽を聴いたり録音したりする技術が次々に変化してきたことを感じさせられます。
テープとCDの音を流して動くことを確認したらいよいよ分解ですが、参加者には分解しながら2つの部品を探すミッションが与えられました。どんなことに使われているのかということも予測します。
見える限りのネジをはずしてどんどん分解
まずは見えるところのネジからとにかく外していきます。ひっくり返したりあちこち開けたりしながら隠れているネジを探してできる限り外していくと、だんだん外せるパーツがでてきて中身が見えてきました。ドライバーを使うときには、押しつけながら回すというコツを最初に教えてもらったので、皆、圧力をかけながらネジを回すのに一生懸命です。
ケース部分が組みあっている部分はちょっと力を入れて外さないとならない部分もあり、ところどころ保護者やサポーター社員が手伝いつつも、基本は全て子ども達。ネジだけでなく、配線のコネクターをも外せるところは極力外していきます。だんだんバラバラ度が増してきました。
分解すると中の機構が見えてくる!!
分解していくと、ところどころにまとまった動きをするパーツが取り出せます。例えばカセットテープの再生や早送りなどのボタンを押す部分のパーツを取り出してみると、押すボタンによって歯車が切り替わる機構を観察することができました。これで、同じ動力なのに回転の方向が変わったりスピードが変わったりするわけです。取り出したパーツにカセットテープを実際に当てて動きを確かめる参加者の姿もあり、探究心が刺激された様子です。
また、少し違うタイプの操作ボタンを分解していた参加者は、分解したボタン部分の内側にあった基板上に無機質な小さなボタンやライトがついているのを発見。取り出したパーツ同士を重ねて、操作ボタンを押すと内側で基板のボタンが押される仕組みを確かめていました。外側と内側のギャップに気づきがあったようです。分解博士が子ども達の間を回りながら説明してくれるので、学びも深まります。
ミッションの部品も次々に発見
分解は進み、細かいパーツのさらなる分解に入っていきます。分解したパーツの並べ方も参加者ごとに個性があります。ミッションとして探すことになっていた部品も見つけられました。
小さなキラキラと光る部品は、小さな部分をさらに分解して取り出すことができました。達成感があります。
ミッションで見つけた大きな丸い2つの部品はスピーカーで、小さなキラキラする部品はCDのデータを読み取る光ピックアップレンズでした。分解タイムのあとには分解博士から解説があり、見つけたばかりの部品を目の前にして触って確かめながら、それぞれの仕組みを学びました。
分解した部品を持ち帰ることは残念ながらできないので、最後は分解した部品を分類して回収ボックスに運び終了です。
探究心や想像力が刺激されるきっかけに
感想を聞いてみると、初めて分解したという参加者は、「分解してこの機械がどんなふうになっているかわかったので楽しかったです」とのこと。また、もともと機器の仕組みに興味があるという参加者は、「出てきたいろいろな部品を取って触ってみるのが楽しかったです」と話してくれました。「ドライバーを使うのは2回目くらい」という子から「自分の時計を分解して直したことがある」という子まで幅広く、皆が楽しめたようです。
保護者の視点もいろいろです。自身が子どもの頃に電子工作などをやっていたという保護者はこう話します。「子どもがまだ熱中できるものがないので、何か興味を持ってもらえたらいいなと思って参加しました。手伝おうとしたら『やめて』と言って最後まで自分でやろうとしていたのはいいことだなと思いました。これをきっかけに電子工作とか作る方にも興味を持てたらいいですね」。
また、別の保護者は、「こういうことが好きそうだと思って参加しましたが、子どもが集中してやっていたので、やっぱり楽しそうだなと思って見ていました。手を動かすのはいいですね。私もやってみたくなりました」と感想を話してくれました。お子さんがもともと持っていた探究心がさらに刺激された様子です。
実際に手で触って確かめながら分解することは、ものの仕組みに興味を持ったり自分で作ってみたいと思ったりすることのとても大切な入り口になります。組み込まれているプログラムは目で見ても確かめることができませんが、歯車など目で見てわかる機構を見つけたり、コイルや磁石、レンズなど仕組みに関わる部品を手にすることは、技術を身近に感じ、興味を広げ理解を深める機会になったはずです。とても楽しい分解ワークショップでした。