持ち運びラクラク、どこでもタッチスクリーン化!ー携帯型電子黒板という選択肢

2015年5月20日〜22日に東京ビッグサイトで開催された教育ITソリューションEXPOに行ってまいりました。今回はそのレポート第一弾。カンタン電子黒板化ができるツールに注目したいと思います。

電子黒板て?

電子黒板、と聞いて何のことだかイメージがわくでしょうか? 最近の教育現場で「電子黒板」という時に真っ先にイメージするのは、大型ディスプレイ上をタッチして操作して、教材を表示したり書き込んだりできる、というタイプのものです。

その電子黒板用の特別なソフトウェアを使用すれば、先生のPC、先生のタブレット、子ども達のタブレットが連携できます。よく、デモで見かける、子どもの回答が瞬時に前の大型ディスプレイに表示されるような「未来の授業風景」は、これ。

ディスプレイ型電子黒板の例
シャープパイオニア日立

大型ディスプレイって本当に必要?

ただ、この大型ディスプレイタイプの電子黒板、導入するとなったら、いかにもどんと費用が必要そうです。硬くて大きいハードウェアが安いわけはありません。

現時点で、実物投影機/パソコン+プロジェクターを十分に活用尽くしていないとしたら、この手の電子黒板が導入されても、それは現場の必然というより空から高価なシステムが降ってきた、という飛躍を感じます。そして、いかにも「専用品」。

また、狭い教室のどこにあの大型ディスプレイを置くのか、という問題もあります。結局、「電子黒板の部屋」が定義されるか、「電子黒板の時間」にガラガラと運ばれてくるか、そういう使われ方になりそうです。

お手軽インタラクティブなスクリーンに注目!

そこで、いきなり大型ディスプレイタイプが解決策だと思わずに、もう少し中間のものに注目してみたいと思います。

プロジェクターだけはすでに簡単に使える状態、という前提で考えてみましょう。今の教室は、ホワイトボード+プロジェクター+書画カメラが既に固定で入っているケースもあります。

ごく普通のプロジェクターでごく普通のホワイトボードに映し出したパソコンの画面がそのままタッチスクリーン化するとしたらどうでしょう。

こんな「インスタントな電子黒板」を実現するツールがあるのです。

小さな機器を黒板orホワイトボードにペタッと貼るだけ!

驚きのカンタン設置な機器がこちら。ガイアエデュケーションのブースで出会ったMimioです。Mimioはアメリカの会社でMIT (マサチューセッツ工科大学) のメンバーによって生み出された製品だそう。日本ではガイアエデュケーション販売代理店をしています。

こちら、ひと言で言えば「携帯型電子黒板」。マグネット式のこんな小さな機器をペタッと普通の黒板/ホワイトボードにはるだけ。それで、普通のプロジェクターでホワイトボードに投影されたPCの画面がタッチスクリーン化して、専用ペンで操作できます。PCとこのMimio間はワイヤレスでリンク。

持ち運びラクラク、どこでもタッチスクリーン化!-Mimio

Mimio:MimioTeach(ガイアエデュケーション)

なにせ普通のホワイトボードに投影しているだけなので、PC画面の上に普通にマーカーで書き込めるという気軽さもあります。これはディスプレイ型ではできない。かつ、ディスプレイ型のように、電子的に書き込むこともできます。

ディスプレイをガラガラ運び込むことを想像したら、なんて冗談みたいな携帯性でしょう!

もともと、タブレットの保管庫&充電ブースで気になっていて立ち寄ったガイアエデュケーションですが、またもや大注目。応援したい気持ち満点です。

くるくるペタッ!で電子黒板化

文具でおなじみのPLUSのブースではこんなものに出会いました。くるくるっと丸められてマグネットでペタッとつけられるシート状のインスタントな電子黒板です。

持ち運びラクラク、どこでもタッチスクリーン化!-plus

UPIC(ユーピック)

これを黒板でもホワイトボードにでも貼りつけ、そこにプロジェクタからパソコンの画面を投影すれば、それがタッチスクリーン化して電子黒板として使用できます。専用ペンで電子的に操作書き込みするだけでなく、直接UPIC本体にマーカーで書き込むことも可能。

丸めてケースバッグに入れるタイプと、ケース一体型でシュッと引き出すタイプ。重さは大きさによって1.6kg〜3.3kgというレベルで、持ってみましたが、教室間を持ち運ぶなら腕力がなくても余裕です。mimioには負けますが、ディスプレイ型と比べたら明らかに携帯性は抜群。

黒板の暗い地にプロジェクターで投影するのではなく、白い地が欲しい、という場合は、ホワイトボードごとインスタントに設置できるので、便利です。あまりやらないと思いますがスチール製のロッカーなどにも貼れてしまいますね。

現状に合わせて選択

大型ディスプレイタイプを学校内で移動させて使うには、実際のところ、階段などは大問題。携帯性がとても重要です。

また、ディスプレイ型が60型で60万レベルの費用がかかるのに対して、MimioもUPICも10万台で見通しが立ちます。(オープン価格は大手販売サイトでの価格を参考。)

既にあるPCとプロジェクターを有効活用するには、オールインワン的なディスプレイ型である必要はないはずです。また、まずは、練習と研究のためにひとつ導入してみよう、という場合、これらの携帯性が高くて比較的安価に導入できる電子黒板は、かなり有効な選択肢になってくるのではないでしょうか。

もし、プロジェクタごとゼロから導入したいんだけれど……、という場合は、プロジェクタ側に電子黒板機能が搭載されているものもありますので、そちらを検討するのもスマートですね。

Mimio:Mimio Projector
エプソンの電子黒板

今の教室の現状、今の先生方のPC・プロジェクター・実物投影機への親しみ度/活用度、予算、等々を総合的に考えて、ふさわしいものを選択することが大切でしょう。ディスプレイ型をどんっと導入するのだけが電子黒板じゃないという視点で選択すれば、モデル校でなくても小さなスタートが切れそうです。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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