ついにリリースされたSwift Playgroundsを使ってみた!!〜Appleの子ども向けプログラミング教材

今年6月にアップルから発表されたSwift Playgroundsですが、2016年9月13日リリースされ、ダウンロードできるようになりました。iOS10の入ったiPadで、無料で使用できます。iPhone7の発表された9月7日のアップルのカンファレンス以降、そろそろかな……と気になっていましたが、ついに!!です。

簡単操作ながら正統派!

早速試してみましたが、これが、すごくいい!

Swift Playgrounds

なんといってもやる気になるかわいらしさで、ぷるぷるっとしたキャラクターも世界観のあるステージも、とても居心地がいい。キャラクターをプログラムで動かしてGem(宝石)を取ればクリアで、課題はだんだん複雑になります。

操作しているところはこちら。

こんな風に、タップしてコードを選ぶだけでプログラムを組んでいけます。操作は簡単ながら、コードをそのまま見せてそのままの形で触らせることにこだわっていて、アイコン化すらしていません。この基本姿勢は徹底して貫かれています。

でも、Commandを順に並べるだけの単純なものからスタートするのでとてもわかりやすい。うまく動かないプログラムの間違いを見つけること、指示のまとまりをFunctionにまとめること、それを繰り返し効率よく使うこと……などと、だんだん複雑な課題になりながら、プログラミングのレベルを丁寧に上げていきます。

Swift Playgrounds

下のコード候補からタップするだけ。組んだらとにかくプログラムを走らせてみて何度でも試すのが大切。

優しさと厳しさが絶妙

章ごとに、「普通の言葉」で概念を説明するステップがあり、スムーズに理解できるようになっています。でも、そのまますぐに、こういう時にはこうして書くのがルールです、とコードの書き方を説明するところが、Swift Playgroundsらしさ。概念もプログラムとしての書き方も両方理解してね、という、優しさと厳しさの両方を感じます。また、各課題の説明文はきちんと読んで取り組むのをおすすめします。

Swift Playgrounds

概念説明は明快。

英語版のみでも大人のフォローがあれば大丈夫

現在英語でのみリリースされていますので、説明文や指示は大人が読んであげる必要がありますが、簡単な英語なので、となりについて説明してあげれば、子どもでも十分取り組めます。選べるコマンドの数を少なくしてあるので、どのコードが「前に進む」でどれが「左を向く」だ、という対応関係を随時教えてあげれば、子どもも、なんとなく文字列の形で記号的に理解できるようです。

Swift Playgrounds

キャラクターは3体から選べて、真ん中のByteくんがデフォルト。

Swift Playgroundsの「包んで隠さない」ところが新しい!

無理なく理解できるステップにわけて、自然に習得できるように課題を組み上げているところはもちろんすごいのですが、Swift Playgroundsの基本姿勢、「プログラミングのコードをそのまま見せる」というところがすごく新しい。仮に日本語版がリリースされたとしても、このコードの部分は、当然、英数字でタイプされたコードのままなわけです。日本の子どもがSwift Playgroundsを使うときも、そのままこの英数字のコードを見て触ることになります。

プログラミングのコードはもともと英語的な文字列なので、結局そこを触れないとダメだよね、そこを何かに置き換えたら、リアルなプログラムを書く時にはまた置き換え学習が必要だよね、ならばダイレクトに最初からコードを触ろうよ、という基本姿勢なのでしょう。

日本語圏の子どもを想定すると、ここを高い壁と感じるのでは……と想像していたのですが、学習ステップや概念説明がとても良くできているのと、ステージのわくわく感で、子どもがやっている様子をみるかぎり、どうやら子ども自身はあまり抵抗を感じない様子です。そして、プログラムの文字列をシェイプとして捉えれば意外普通に触れてしまうのが発見でした。

発展系の教材や便利ツールも

他にも、Challengesとして、Drawing Sounds、Blink等、出来上がった機能するコードを部分的にいじって成り立ちを理解するような教材もダウンロードできて、こちらは、基礎的なことがわかってから挑戦すると面白そうです。プログラムのどこをいじると何が変わるのかを部分的にいじってみたり、複雑な機能がどうやって作られているのかを読み解いたりすることができます。
Swift Playgrounds

実は、Toolsには便利な機能がつまっていてなんと「Record Movie」もあり、操作画面を動画キャプチャーできるようになっています。自分のアレンジを動画でシェアするなども簡単です。また、先生が子どもに教えるための教材を作りやすいようにという配慮でもあると感じました。

Swift Playgrounds

プログラミング学習教材に新しいスタンダードを作ったともいえるSwift Playgrounds、おすすめです!

ICT toolboxで6月に紹介した記事

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

おすすめ

2件のフィードバック

  1. 2016-09-20

    […] […]

  2. 2017-03-22

    […] ンス語、ドイツ語、スペイン語版が同時追加。)ICT toolboxではすでに英語版の使用レポートも公開して動画などものせていますので、基本情報はぜひこちらもチェックしてみてください。 […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です