厚切りジェイソンがナビゲートするScratch(スクラッチ)の番組を早速レビュー〜Eテレ「Why!?プログラミング」
ついに子ども向けプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」の番組がEテレでスタートしました。進行役は「Why Japanese people!?」の決め台詞で有名な厚切りジェイソンさん。
Scratch(スクラッチ)というのは、子ども向けプログラミング言語の中では最も有名で、MITメディアラボが作りました。Scratchのウェブサイトからそのままブラウザ上で使い、楽しめるプログラミングツールです。主にドラッグ&ドロップで命令のブロックを積み上げてプログラムを作っていきます。
ウェブで放送もプロジェクトも観られるから便利!
1回10分の短い番組で、3月21日(月)〜25日(金)午後3:00〜全5回が続けて放送され、翌週また一週間かけて、3月28日(月)〜4月1日(金)午前9:00〜再放送されます。今日の放送が高校野球でずれてしまったので、まだ放送されたのは4回目まで。
リアルタイムで見られなくても、実は「NHK for School」のサイトで放送後から全ての番組が視聴できます。番組で使用したスクラッチプロジェクトは全てスクラッチのサイト上で公開されていて、各プロジェクトにリンクされています。
スクラッチには、リミックスと言って誰かが公開しているプロジェクトを改編しながら学ぶ文化があります。番組が公開しているプロジェクトをリミックスすれば、番組で観たことをすぐにどんどん試すことができるのです。
NHK Eテレ「Why!?プログラミング」〜番組のスクラッチ
スクラッチのゼロからの入門ではないものの……
第一回から、スクラッチの使い方を丁寧に勉強……ではなく、え?そこから始めるんだ、というくらい、いきなりプロジェクトの中身の話になります。スクラッチの使い方を手取り足取りステップ・バイ・ステップで教えてくれる入門ではありません。
ここに時間を費やしていると前提だけで一話終わってしまうのできっと、とっても退屈。そこは思い切って中身だけにフォーカスしたのでしょう。
大丈夫、その分、サイトにちゃんと基本説明のコンテンツがあります。
NHK Eテレ「Why!?プログラミング」〜スクラッチをはじめよう!
ここから、「スクラッチのはじめ方」や「自分の作品を作ろう!」という準備や基本的な使い方を知ることができます。とりあえず番組を見て、なんだか面白そう!と思ったら、まずこのページでスクラッチを使う準備をしてから始めるといいですね。アカウントを作るところなど保護者が代わりにやってあげればよいでしょう。
触って慣れる!のコンセプト
番組で扱うプロジェクトは、ゼロから積み上げて作っていくのではありません。すでに動いているプロジェクトで起きている問題を解決する、というアプローチ。実際、厚切りジェイソンさんが、問題を解決するために「スクラッチ・ワールド」にレスキューしにいくというストーリーが展開されます。
リミックスして覚えていくのと同じ感覚で、まず、途中まで出来上がっているものを触って慣れていこう、というコンセプトなのでしょう。
まず間違った手を加えて正しくレスキューできないのがお決まりパターンで、それによって、プログラムのどこに問題があるのかをよりクリアにしていきます。
プログラミングの内容は?
プログラミングの内容的としては、「右に10進む」など単純なことだけではなく、けっこう高度なコンセプトまでいきます。
「ずっと」というループや「もし」という条件の概念もすぐにでてきますし、位置を指定するのにx座標y座標、乱数なども登場。通常の大人がやるプログラミングの学習内容からすると、けっこう飛ばすなぁ、と思いそうになるのですが、そういうコンセプトにストンと飛び込めてしまうのが、こういうブロックタイプのプログラミングの最大の特徴であり、良さでもあります。
ブロックの重ね順やはさみ方を真似したり試行錯誤しているうちに、プログラミングの理屈が理解できる、というより、「いつの間にか慣れる」という感覚です。
「次はif…elseを使って……」というステップを踏んでひとつずつ文法を覚えていくというのではなく、とりあえず半完成品とか、動いているものを触って体当たりで慣れてしまう子どものスクラッチとの付き合い方を体現しているかもしれない、という気がします。
番組でのスクラッチプロジェクトの扱いも「いきなりそこから?」と感じさせるくらい、ブラックボックスも大きいわけですが、そういう楽しみ方や学び方をするのがスクラッチの醍醐味なのかもしれないな、と考えを新たにしました。
「ジェイソンをプログラミング」が、いい!
挿話的に展開する「ジェイソンをプログラミング」というコーナーがあります。スクラッチのブロックのようにひとつひとつ小さな指示をしてジェイソン(厚切りジェイソン)を動かし、特定の動作をさせる、というものです。
これ、すごくいいなぁと思いました。実のところ、これはアニメーション系のプログラミングのコンセプトそのもの。ものすごくわかりやすい。
親子で「お父さん/お母さんをプログラミング」とか「◯◯ちゃんをプログラミング」をやって遊ぶと、とても面白いので、ぜひ、やってみてください。
テレビで見ない新しいスタイルが定着するかも
リアルタイムで見れなくても、むしろNHK for schoolのウェブサイトで番組を見て、すぐにスクラッチのサイトに移動して番組のプロジェクトをリミックスしてみる、という一連の流れの方がスムーズ。テレビで番組を見ないでウェブで見るのが最初、というのが定着するひとつのパターンになるかもしれませんね。
厚切りジェイソンさんのテンションや典型的な英語なまりの日本語が作る独特の雰囲気が、子どもにはなかなか親和性が高い様子。「独特のしゃべり」というのはYoutubeの実況動画系にある文化だと感じているのですが、少し、それを想起させなくもありません。ナビゲーターのラム&プログはセサミストリートとがんこちゃんを足して2で割ったような静かに濃いキャラクターでなかなか印象的。全体としてプログラミングの空気作りとしていいバランスだと感じました。
さぁ、桜ももうすぐ咲いていい季節ですから、家に閉じこもるのをすすめるのは気が引けますが、たまにはじっくり親子でスクラッチを楽しんでみるのもいいかもしれません。
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