第2回「教育DX保護者カフェ」レポート&第3回開催[8/20(日)]のお知らせ

教育のICT活用の話題はどうしても先生視点に偏りがち。保護者視点の声を交換して可視化していくために、教育現場でのPC活用やデジタル化について話す会「教育DX 保護者カフェ」を開催しています。

<第3回は8月20日(日)10:00〜11:15 オンライン開催→詳細と事前申し込みはこちらから

第2回を2023年6月17日(土)に開催した様子をレポートします。この「教育DX 保護者カフェ」は、半オープンな場とし、オフレコの希望があるお話以外は、個人を特定しない形でオープンにする可能性があることを参加者の方に了承いただいています。

第2回の参加者は、保護者の立場のみなさん6名とファシリテーター役の狩野。参加者の皆さんからテーマを投げかけていただき、それについての意見交換をしました。テーマと意見交換の要点をカジュアルな記録の形で紹介します。

家庭でのICTとの付き合い方

家庭でITリテラシーを高めるための工夫やどんなことをしている?親の支援の仕方とかあり方とか。関与しているポイントあえて関与しないことなど。我が家の対子供ICT方針。

  • 小さい頃からどんどん触らせている。幼稚園とか1年生の頃から。夫がエンジニアで自分自身もICT教育に関する仕事にしているので、消費者のような使い方をするのではなく、役に立つものとして使って欲しいと自然に家の方針や会話としてあった。色々なことに使うのでゲームとYouTubeしかしないというようなことはないから、そこは良かったと思う。
    でも、もっと子供のITリテラシーを高められる(プログラミングをもっとやるとか)と思っていたわりには、意外と子どもはアナログ好きになった。
  • 私はICTを使った方がいい派なんだけれどパートナーは逆の思いだったりする。プログラミングの教室とかキャンプは子どもに提案したら行きたがったので、アウトソースしていた感じ。きょうだいで同じ体験をしても興味をもって高度なプログラミングに挑戦する子もいればそうでない子もいる。
    子どもがゲームに夢中だったときはそのゲームを教えてもらって一緒にやっていたことがある。
  • 幼児のときからiPad積極的に使って良さそうなアプリを積極的に使って育児をしてきた。中学生くらいからはPCを与えて日常的なことに使うように促している。小学生のうちは誘うとワークショップも行ったけれど中学生くらいからはあまりのってこないので、いろいろ連れていくなら小学生の頃にどんどん行くのがおすすめ。
  • ICTがあると世界が広がるタイプの子だったので、使う前提で、どのように付き合わせるかというスタンスでやってきた。小さい頃はキッチンタイマーで1日の持ち時間を30分などと決めてやってきた。
    GIGAスクール構想で学校のiPadを使ったのをがきっかけで一気に世界が広がった。クリエイティブなアプリが多く音楽作りが好きで得意だと気づいた。
    現在は表面的な時間制限をやめて内容次第に変更。遊びは1時間などと決めて、それ以外の何かを作ったりプログラミングをしたりする時間は申請制にしている。
  • ↑これをやっていたけれども、結局子どもはうそついてルールは破られる! でもそれはICTのことだけじゃなくて他のことでもいっしょ。
    (自分も子どもの頃いろいろ嘘をついてきたなぁという声あり。)
  • 親が怖がっているのは「依存」だということを子ども伝えて、子どもも同じ気持ちだと信じて、一緒にどういう付き合い方ができるか考える。
  • 学校も忙しくてICTリテラシー学校が担えるわけでもないとすると、家庭のリテラシー(+親が忙しくて手がかけられないという状況も)によって子どもの格差が開いちゃうなぁという印象。どこが何を担ったらいんだろう……!

ブロックだらけで制限の強い学校の端末 vs ゆるめの端末

GIGAスクール端末の家庭への持ち帰りはしているかどうか? どんな使い方になっている?→端末の制限が学校によってかなり違う

  • 学校の端末(iPad)は持ち帰りだったけれど、家で特定のアプリを使う時以外はほとんど使わなかった。家のPCなどからクラウド(※)にログインして使っていたから持ち帰る必要がないくらい。
    (※クラウド:ここでは、GoogleやMicrosoftなどのアカウントでログインして使うアプリ各種や連絡につかうグループワークツール、ストレージなどのサービスのこと。)
  • ↑これができない! 学校のクラウドサービスには家庭のPCなど他の機器からアクセスできない設定になっている。端末の持ち帰りはしている。
  • 学校のCrhromebookは持ち帰るけれど、家にPCもタブレットもあるので家のものを使うことが多い。ただ、子どもの端末しかないない家庭もあることを考えると、持ち帰りは大切なのかなと思う。
  • 学校の端末は制限が多くてYouTubeなど動画は見られない、セキュリティフィルターも強めで見られないサイトも多い。学習に必要と思えるものでも見られないから親のスマートフォンで検索して見せてあげたりしている。
  • 学校支給のタブレットPCは制限が強い。データを移動させる方法が徹底的にブロックされている(USBポート使用不可、保護者など他のクラウドへのアクセス不可、学校のクラウドは学校のタブレットPCからのアクセスのみ)。家の PCにある写真データを持って行くために、家のPCの画面を学校のタブレットPCで撮影するという事態に……。
  • 子どもがデジタルで作ったものって子どもに権利があると思う。子どもが図工で紙に描いた絵は返却される。デジタルでも同じ権利があるはず。著作権とか所有権として問題では?
  • 個人の権利の前に学校のルール。学校/先生が主導権を持っている感じ。ICTに限らず、子どもの学習する権利、環境としてどうなのかということも考えていきたい。
  • GIGA端末のパスワードもプリントに書いて先生に提出だった。→パスワードの管理として絶対にやっちゃいけないやつ。→子どものパスワードを教えてという親が出てくるのを恐れているのかも。親のリテラシーの差が問題かもしれない。

学校と保護者が助け合う関係を生み出すには?

学校は困っていても保護者に力を貸してと言わない。家庭科のミシンのサポートとかは求められるのに、ICTのサポートに来てくださいっていうのはなぜかない。頼まれたら喜んで行くのに……。

  • 先生もICTについては何を聞いて良いかわからないのかも。
  • 保護者の方が詳しくて提案できる場合もある。でも、そのときに誰を窓口に話したらいいのかわからない。担任の先生ではない気がするし……。オンライン授業で音声など技術的に気になることがあっても子どもから言わせるしかない。
  • 子どものオンライン授業、横で見ていて気になったけれど、子どもに怒られるから顔と声は出せなかった。あとでマニュアルみたいなものを作って先生に渡したことはある。
  • 子どもが小学校1年生のときコロナ禍に先生も慣れていないのにオンライン授業でカオス状態になった。音が聞こえてない子が続出。その場でまずいと判断して、子どものアカウントで顔も声も出してその場でサポートしたことがある。「みんな聞いて〜!」と入り込んでその場で操作説明をして、先生に引き継いだ。その結果、学校が困ったときに電話がかかってくるなど頼ってもらえる関係になった(喜んで手伝う気持ちでいる)。
  • オンラインに親が入っちゃ悪いとか思わないで、↑こんなふうに例外を積み重ねていくのはすごくいいし大切かも。助けたいっていう思いで親がヘルプをする思いは学校にも伝わる。
  • 多分学校や先生は、親から「なんであれをやってくれないんだ」というクレーマー的な声をかけられて、対立構造になった経験が多い。だから親が介入することに対してすごく警戒するんじゃないか。
  • 親と一緒にやったらうまくいったっていう成功体験を学校側も親の側も積み重ねていくと、先生の側も「助けてください」って言いやすくなるし、親側も要求するのではなく「一緒に考えませんか?」と言える関係になるのではないか。

今回の参加者のみなさんは、たまたま教育のICT活用やIT関係に詳しい方が多かったのですが、積極的に子供に使わせたい思いと、保護者視点のもやもやした思いがどちらもとてもリアルで共感が生まれていました。これからも、ITは苦手という方も詳しい方もいろいろな人が混ざって意見交換できればと思います。

狩野 さやか

株式会社Studio947のライター、ウェブデザイナー。技術書籍の他、学校のICT活用やプログラミング教育に関する記事を多数執筆している。著書に「デジタル世界の歩き方」(ほるぷ出版)、「ひらめき!プログラミングワールド」(小学館)、「見た目にこだわるJimdo入門」(技術評論社)ほか。翻訳・解説に「お話でわかるプログラミング」シリーズ(ほるぷ出版)。

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