電子機器なしでプログラミングを学ぶ「Robot Turtles」〜G7プログラミングラーニングサミットReport1
2016年11月12日(土)、G7プログラミングラーニングサミットが開催され、会場の早稲田大学西早稲田キャンパスの一角では、様々なツール群を自由に体験できるコーナーや、子ども向けのワークショップなどが行われました。
子ども向けのプログラミング学習関連ツールを使ったワークショップには、Viscuit、Scratch、Lightbot、CodeMonkey、Osmo Coding、Robot Turtlesといった、様々なツールが登場しました。
プログラミングの発想を遊びながら学べるカードゲームRobot Turtles
プログラミング学習というとタブレットやパソコンを使ったツールを使うというイメージがありますが、電子機器を使わないツールや学習方法もあり、オフラインであることをアンプラグド(unplugged)と呼ぶこともあります。今回のワークショップ中、唯一電子機器を使わないRobot Turtlesのワークショップをのぞいてみました。
Robot Turtlesはボードゲームで、各プレイヤーは色違いのカメのキャラクター。マス目のついたボード上にある自分のカメと同じ色の宝石を取るために、自分のカメを動かしていくというものです。
各プレイヤーは、「進む」「方向転換」など一手一枚に仕立てられたカードを持っていて、そのカードでカメを動かす指示をするわけです。
偶然や勝負性のあるゲームではなく、プレイヤーそれぞれがルートと動く手順をじっくり考えるのが大切なゲーム。手持ちのカードから自由に選んでカメを動かしていきます。ワークショップでは、カードを1枚ずつ順に出してカメを進めることからスタートし、慣れてきたら3枚ずつ出すなどもしていました。
一手一枚、自分の出したカードを目の前に順に並べていくとそれだけで、カメの動きをプログラミングしていることになる、というわけです。一手戻したい時は「バグ!」と言って修正することもできます。
ボード上には障害物やアイテムを置いて、迷路(Maze)を作り、難易度を変えながら繰り替えし遊ぶので、子どもの年齢や習熟度に応じていろいろなステージ設定ができます。
今回ワークショップで見たやり方では、子どもだけでプレイするのではなく、ボードにひとり、リーダーとなる大人(上級者)がつくのがポイントで、このリーダーがゲームのステージ設定をしたり、プレイヤーが出したカードに応じて各カメキャラクターを動かしたります。勝ち負けを競うのではなく、ルートを考えることを促し、カードを一度に出す枚数もリーダーが指示して進行していました。
障害物をよけたり、氷アイテムがあったら、レーザーカードで溶かす、など、少しずつ課題は複雑になり、慣れてきたら、宝石を取るまでのルートを最後まで一気に考えて、各自カードを並べてみます。サブルーチンとして動きのセットを別に作りメインのプログラムから呼び出せるFrogカードもあり、いかに少ないカードでゴールまでたどり着けるか、というチャレンジもできます。
もちろん、文字がわからなくても楽しめ、遊びながらプログラミングのコンセプトを学べてしまうしかけがたくさん詰まっています。
オープンなカードゲームであるということの最大の利点は、顔を上げて、人同士で隣りあい、人同士のコミュニケーションが生まれることだな、というのが一番の実感です。以前ご紹介したOsmo Codingでも画面で完結しない利点を強く感じますが、画面すらないRobot Turtlesは、その比ではありません。画面モノのツールは、良くも悪くも、最初のコンセプトがわかると与えておけば自分ひとりの閉じた世界に入ってしまいがちですが、これは完全にオープンな世界です。
その利点と同時に感じるのは、リーダー次第でゲームの面白さが変わってきそうだな、ということ。リーダー的役割の年長者が、4人までの小グループについて遊ぶスタイルだったので、親がリードしながら子どもと楽しく遊ぶイメージがぴったりきます。Robot Turtlesのサイトによれば開発者自身が、自分の幼い子ども達と遊ぶことをイメージして考え出したそうです。
Robot Turtles
ThinkfunのRobot Turtles紹介ページ(使い方はこちらのページがわかりやすいです)
大人も子どもと一緒にルールを覚えながらこんなカードゲームをすると、プロラミングの入り口というのは何かひどく特別に難解なことではなく、ちょっとした論理的な思考遊びだということがわかって面白いはずです。
1件の返信
[…] Report1で紹介したRobot Turtlesのような完全に電子機器ではないツールは、PETSのような単体型が増え、子ども達が画面を介さなくてもプログラミングの世界に触れられるようになってくるの […]