導入ツールとして利用価値大のやさしい絵本「プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん」


プログラミング教材の中で「アンプラグド」と呼ばれるジャンルがあります。これは「プラグを差していない」つまり電子機器を使わないという意味。プログラミングの基本コンセプトを通常の論理思考や電子機器を使わないツールや手法に落とし込んで学ぶことを差しています。

人の話や紙や鉛筆で学ぶだけでなく、身体を使ったゲーム仕立てや、カードゲームのようなスタイルも可能なので、低年齢の子どたちの遊びとして仕立てたり、電子機器利用ができない環境での学びに採用したり、電子機器を使う学習の導入にするなどいろいろな目的に使えます。

「アルゴリズム」のコンセプトに特化した絵本!

今回紹介する「プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん(1)アイデアはひとつじゃない!〜アルゴリズムってこいうもの」(松田孝監修/フレーベル館)は、このアンプラグドの学びの入門編と位置づけられる絵本です。

「プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん(1)アイデアはひとつじゃない!〜アルゴリズムってこいうもの」(松田孝監修/フレーベル館)

写真はamazonにリンクしています。

この第1巻ではアルゴリズムの本当に入り口の部分を取り上げています。特徴的なのは、徹底的に日常的なシチュエーションに翻訳して話を仕立て、問いかけていること。

登場するのは3人のきょうだい。例えば学校へ行くまでの道でのりでちょっとしたトラブルにあい、それぞれ違う手段で解決して進みます。この過程を通して「アルゴリズムは、『目的をかなえるための方法』のこと」でありひとつの決まった正解があるわけではないということへの理解を促します。

「プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん(1)アイデアはひとつじゃない!〜アルゴリズムってこいうもの」(松田孝監修/フレーベル館)

以前紹介した「ルビィのぼうけん」も「絵本」と呼ばれていますが、「ルビィ…」はどちらかというと「絵本仕立て」で、ストーリー部分とエクササイズ部分をつなぎながら大人の手を借りて使用する必要がある本です。ストーリーの部分を読むだけでコンセプトをストンと理解できるかというとそういうタイプの本ではなく、その分エクササイズ部分の教材としての利用価値は高いと言えます。

それに対し、この「プログラミングを学ぶ前に読む アルゴリズムえほん」は純粋に「絵本」としてアルゴリズムのベーシックなコンセプトを理解できるようにすることを徹底的に追求しているので、読み聞かせるだけで内容が伝わりやすい作りになっています。

優れた導入ツールとして利用価値大!

この絵本は、とても便利で使い勝手のいい「コンセプト理解の導入ツール」という風にとらえるとよいでしょう。やさしくやわらかいタッチで描かれた絵がとても生き生きとしていて、子どもたちがそのシチュエーションに入り込むのを助け、大判なので大勢で見るのにも向いています。

ただし、この絵本を読み聞かせるだけでコンセプトを理解してプログラミングを学んだことになる、というようなとらえ方をすべきではないでしょう。むしろ、他の学びの導入としての利用価値が非常に高いと言えます。例えば、Scratchを使った学習の導入に読んだり、低年齢層ならば、身体を使ったアンプラグド系の遊びの前にこの絵本で導入するなどもできます。

プログラミングのコンセプトが、日常の出来事に徹底的に翻訳されているからこそ子どもたちは入り込みやすいわけですが、翻訳されすぎている分、メインの「プログラミングらしい学び」とのブリッジ役は先生がやる必要があります。

こんな風にワンクッションおくためだけの便利なツールというのは意外と存在せず、先生が自分で「たとえ話」をするくらいしか手段がなかったことを思うととても便利です。

「プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん(1)アイデアはひとつじゃない!〜アルゴリズムってこいうもの」(松田孝監修/フレーベル館)

全4巻シリーズで発刊予定

現在すでに発刊されている第1巻「アルゴリズムってこいうもの」に続き、全4巻が今後発売される予定です。第1巻を見る限り、ひとつの巻で扱うテーマは非常に絞り込まれていて限られています。その分、欲張らずていねいに伝えることが重視されている印象です。

第1巻「アイデアはひとつじゃない!〜アルゴリズムってこいうもの」<9月既刊>
第2巻「ならべかえたりさがしたり!〜よく使うアルゴリズム」<11月発売予定>
第3巻「フローチャートでみらいをえがけ!〜アルゴリズムのきほんの形」」
第4巻「あそべるアルゴリズム!!」

図書館向けに強い製本がされていることや価格設定から、家庭よりは学校や学級、園や塾などの場で購入してツールとして利用したり、共有して読まれることを想定している絵本だと思いますが、シリーズでそろえて誰でも手に取れるようにしておけば、先生方が便利に使い、子どもが手に取り興味をもつきっかけにすることができそうです。

尚、プログラミング教育の積極的な実践で有名な松田孝先生(小金井市立前原小学校校長)が監修しており、巻末に先生向けのページもついています。


狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブやアプリのデザインを中心に制作全般担当。「ICT toolbox」運営責任として、特に家庭や学校現場でのアイディアや取り組みに注目している。子育て分野では他メディアにコラムを寄稿し、「patomato-ふたりは同時に親になる」を主宰してワークショップ等を行っている。

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