新学習指導要領のコンセプトがつかめるオールインワンの一冊「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」


2020年の新学習指導要領全面実施で、プログラミングが小学校で必修化されます。とはいえ、新学習指導要領が公示されたのが今年(2017年)の3月。関心の高い地域、学校、先生の間ではすでに模索段階の実践が進んでいるものの、まだまだ先生方の間では、何を教えることになるのかのイメージすら持てていない状況でしょう。

小学校段階のプログラミング教育が目指すところを解説

今回ご紹介する「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)は、小学校で始まろうとしているプログラミング教育の全体像をつかむのに必要な情報がコンパクトにまとまった一冊です。

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)

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まず、「何が定義されたのか?」が、文部科学省の元教育課程企画室長へのインタビューや巻末の新学習指導要領・解説の抜粋で把握できます。次に、「そもそもプログラミングって何?」という入門的な解説が本文で展開されるので、概念を知ることができます。そして「どんな授業をするの?」の事例が豊富に紹介され、現在すでに取り組んでいる先生のリアルな授業の様子がわかります。さらに、「どうやって推進していく?」の部分を、市長、教育長、校長等へのインタビューで見せていきます。

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)

やわらかいイラストがたくさん入っていて読みやすい

実践例の先生の生の声がいい

特に注目したいのは、「プログラミング教育の授業実践例」です。国語、算数、理科、外国語活動(英語)、総合的な学習の時間等でプログラミングを扱った7つの実際の事例が紹介され、様々なアプローチで教科の学習とプログラミングをつなげている例を知ることができます。授業の計画や進行が授業者である先生の視点で説明されているのが現実的で参考になるでしょう。

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)

理科での実践事例

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)

アンプラグド教材での実践事例

事例自体も参考になりますが、各事例についている「教師の振り返り」の部分がこの本をとても生き生きとさせました。

例えば「プログラミングのイメージは?」について「もともとIT機器の扱いなどは苦手な分野でした。『プログラミング』といわれても、イメージができず、難しいコードを書くのだろうかと思っていました。」と語る先生がいたり、「実際に授業をしてみてどうでしたか?」については「教師が細かく教えなくても、子どもたちは活動の中で、プログラミング的な思考を習得していっているように見えました」。「児童の変化で印象に残るものはありますか?」について「算数が得意でない子がグループの中心になってどんどん解くことが出来ていた……感覚的に理解できたり操作できたりするのだと思います。」など、先生方自信が、今までの出会わなかった子どもたちのシーンに可能性を感じていることがわかります。

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」(利根川裕太・佐藤智著、一般社団法人みんなのコード監修/翔泳社)

そんな生の声と子どもたちの反応は、これから授業に取り組もうとする先生方にとって大きな力になるでしょう。

お手本的解釈がオールインワンになった一冊

もちろんプログラミングに関する実践はここで取りあげられているものだけではなくもっと様々に広がっていって欲しいと思いますし、プログラミングをなぜ教えるのか、どう子どもたちに教えるかという考え方は、もっと様々であってよいと思います。

ただ、今多くの人が手探り状態で新学習指導要領が何を言っているのかも把握できない中、この本のように、お手本的な解釈と実践例を示してくれる本の役割というのは大きいでしょう。そんな情報がオールインワンになった便利な一冊です。

現場の先生がまずアレルギーをなくして裾野が広がることが重要。監修の「みんなのコード」(2017年10月より特定非営利活動法人)が夏に開催したイベントと同様のコンセプトの本だと言えるでしょう。


狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブやアプリのデザインを中心に制作全般担当。「ICT toolbox」運営責任として、特に家庭や学校現場でのアイディアや取り組みに注目している。子育て分野では他メディアにコラムを寄稿し、「patomato-ふたりは同時に親になる」を主宰してワークショップ等を行っている。

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