『小学校の「プログラミング授業」実況中継 2020年から必修のプログラミング教育はこうなる』/クイックレビュー


7月11日発売の『小学校の「プログラミング授業」実況中継 2020年から必修のプログラミング教育はこうなる』(技術評論社)のクイックレビューをお届けします!

この本は、BSフジで今年1月に放映された『beプログラミング2 ~2020年大予測! 小学校の授業はこうなる!?~』という番組をもとに作られ、小学生を対象に各教科ごとに実験的に行われた授業の内容を実況中継するという形を取っています。

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PART1(小金井市前原小学校 松田孝校長)では、プログラミング教育が必修化になるまでの過程や実際に2020年からの新学習指導要領ではどのように扱われることになったのかという流れが説明されます。また、実際の学校現場でプログラミングの学びがどう受け止められているかなど、リアルな状況が見えてきます。現場感のある視点の整理の仕方が、この本で紹介される授業内容の捉え方の大切な指標になります。

PART2(前古河市教育委員会・情報通信総合研究所 平井総一郎氏 監修)は、番組で行われた授業の内容がわかりやすく臨場感あふれる形で構成されています。代表的なツール群と教科の学びがどうつながったのかが見えてきます。モデル授業は全教科にわたり、使われたツールもアプローチも様々です。

PART3(杉並区立天沼小学校 福田晴一校長 監修)では、各モデル授業を指導案に落とし込むという意欲的な試みがされています。一番地味なパートながら、これらの授業をより現実的に捉えるためにとても重要な部分だったと感じます。

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授業実況部分だけを見ると、ひとことで言えば、ちょっと豪華。もちろん様々で着手しやすいものもありますが、実はけっこう難易度の高いことをやっているものや、専門家だからこそできた切り口などもあるので、現場ですぐに簡単に真似できるものばかりではないかもしれません。まだ今の段階では、若干「ツールありき」で教科の学びと結びつけたような印象を受ける部分もゼロとは言えません。プログラミングのどの部分を学ぶことを目的とするのかもアプローチが様々です。生徒も、書籍のクレジットによればLITALICOワンダー(プログラミング教室)とあるので、集まった子どもの興味の質が似通っていた可能性が高く授業は進めやすかったはずです。

リアルな教室の子ども達の学習特性のばらつきや学校に備えられている機器やマンパワーの問題を想定すると、これらのモデル授業は現実の学校の先生にはハードルが高く感じられる部分も多いでしょう。でも、だからといってここでプログラミングの学びに拒絶反応を起こさないでほしいと思います。これらの授業例からほんの一部でも発想を盗んで、自分の手の届くツールで同じ学びの質を再現してみようとすることが重要だと感じます。

全教科が一冊にまとまっているので、どんなアプローチが可能なのかという最初の一歩のヒントを得るのにはぴったりです。

著者のおひとりである松田孝先生よりこの本をご恵贈いたただきました。ありがとうございました。

書籍の執筆・監修授業担当者リスト
【PART1】
松田孝(小金井市立前原小学校 校長)
【授業担当】
国語:吉田潤子(株式会社NTTデータ所属)
社会:原田康徳(Viscuit開発者、合同会社デジタルポケット 代表)
算数:久木田寛直(株式会社アザイ・コミュニケーションズ代表取締役、駿台電子情報&ビジネス専門学校講師)
理科:赤石先生(ニコニコ動画やYouTubeでMinecraftのレッドストーン回路の解説をしている動画投稿者)
音楽+図工:平井聡一郎(前古河市教育委員会、情報通信総合研究所)
体育:利根川裕太(一般社団法人みんなのコード 代表)
総合:國領二郎(慶應義塾大学 役員 常任理事/総合政策学部 教授)
英語:サムエル・デビドソン(株式会社Night Zookeeper 代表取締役)
【監修】
平井聡一郎(前古河市教育委員会、情報通信総合研究所)
福田晴一(杉並区立天沼小学校 校長)
(敬称略。肩書きは書籍掲載プロフィールより抜粋。)

狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブやアプリのデザインを中心に制作全般担当。「ICT toolbox」運営責任として、特に家庭や学校現場でのアイディアや取り組みに注目している。子育て分野では他メディアにコラムを寄稿し、「patomato-ふたりは同時に親になる」を主宰してワークショップ等を行っている。

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