今求められる3つのスキルと教育の変革に必要な7要素〜Google教育部門代表講演より(ICT CONNECT 21セミナー)


2017年6月5日(月)ICT CONNECT 21主催の自治体、教育関係者に向けセミナー「『未来の学び』のビジョンと課題」が開催されました。

Googleの教育部門の代表Bram Bout氏と、プログラミング普及プログラムの責任者Chris Stephenson氏からの講演を中心に、これからの学びに必要なビジョンの共有がされました。

これからの社会で必要とされる3つのスキル

Bram Bout氏からは、これからのグローバルな社会で非常に重要になってくるスキルとして以下の3つがあげられました。

・Collaboration
・Problem Solving
・Communication

これらが学校で教えられているわけではない現状をふまえ、この教育を変えていくために、マインドセットや教室のカルチャーなどの「Transformation(変革)」が必要だ、ということが強調されました。

グローバルな世の中になったのに、教室では隣の人としかコミュニケーションを取らないとか、あらゆるサービスがパーソナライズされている時代に、なんで学校では全員同じ教材を同じようにやっているのか、という説明はとても明快です。

テクノロジー自体にはポテンシャルがあるものの、それを教室に持ち込むだけでは、それまでの何かの代替手段にしかならないという指摘をしながら、もっと大きく考え、全くゼロから考えるような変革が必要だと指摘しました。

Transformationに必要な7つの要素

実際にTransformationを実現するフレームワークとして、以下の7つが提示されました。

google20170605

・Community
・Learning
・Funding & sustainability
・Vision
・Culture
・Professional development
・Technology

クリアなビジョンを立て、新しい技術や学習方法の導入や既存の文化の壁、親を含む地域の説得、費用、教える側のスキルなど、包括的に取り組む必要があるというわけです。

いくつかの事例が示され、例えば、カリフォルニアのベイエリアの学校では、個別の学習進度にあわせてカスタマイズした学習のモデルに移行し、1日の何時間かは、各自のデバイスに向かってそれぞれが自分に応じた学習に沿って学んでいるということでした。これが実現できるよう、技術的なサポートだけでなく、教員の教育や親への説明など包括的に取り組んだということです。

Think big, start small

質疑応答で出た、現実には制約の多い中でどうやっていったらいいか、という問いに対して、
Think big, start small
という原則が示されたのが印象的でした。

大きなゴールを持っておき、小さいセッティングで始める……例えば学校でひとりの先生が、今までと違うアプローチをやってみることから始め、それに賛同する人がだんだん増えていくという形で実現していけるという話で、現場の先生方には心強い話です。

アメリカやヨーローッパの国々も1年程度で変わったわけではないということですが、高いゴールを掲げていないとそこには到達できないことが併せて強調されました。

個人にカスタマイズされた教育の可能性

セミナーの内容から、また、セミナー後にいろいろな方のお話を聞きながら今回一番印象に残ったのは、学習のパーソナライズというポイントでした。

今後、アダプティブラーニングの技術が進んで、デバイスの普及と教材の発達で個別にカスタマイズされた学習が可能になってくると、学校での学びのスタイルは様変わりします。

例えば特定の教科で試されている習熟度別のクラス編成が、個人単位で実現可能になります。また、特別支援教育でされているような個人にカスタマイズされた個別指導計画が、もっと簡易的で自動的なものだとしても全ての子どもに先生の手間をかけずに提供できるようになります。

習熟度や個人の特性で教室やクラスを分類しなくても、同じ空間にいながら個別に無理のない進度で学習が進められるというのは、空間という側面だけでとらえるなら、よりインクルーシブな環境を作ることができるとも言えます。また、その空間に子ども同士の学び合い/教え合いも生まれると考えれば、パーソナライズ学習とcollaborationやcommunicationは、同時に成立するでしょう。

個々にデバイスに向かう姿を異様と考えて拒絶するのか、新しくて子どもにとってより無理のない幸せな学びの場を提供できていると考えるのか、そこは、見方次第で変わってくるわけです。

無機質な教室というイメージとは違う、新しい学びの現場をイメージできたように思います。


狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー。「ICT toolbox」運営責任。特に家庭でのアイディア、リアルな教育現場での取り組みに注目している。子育て分野では「MAMApicks」にコラムを寄稿し、「patomato-ふたりは同時に親になる」を主宰してワークショップ等を行っている。

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です