本格的なクレイアニメーションに小学生が挑戦/イベントレポート


2015年3月1日(日)にお台場のソニー・エクスプローラサイエンスで開催された「アニメーション・ワークショップ ~環境問題を考えながら、映像の仕組みを体験しよう~」の様子をレポートします。

今回取り組むクレイアニメーションは、粘土で作ったキャラクターを少しずつ位置や形を変化させながら、1コマずつ静止画として撮影し、連続再生するとパラパラ漫画の原理で動いて見える、というのが基本的な仕組み。

小1〜小6が対象という年齢幅の広さ、(1)ストーリー作り(2)キャラクターを粘土で造形(3)コマ撮り撮影、というステップの多さ、全4時間という長時間……なかなか子どもにとってはハードルが高そうです。

アニメーションの仕組みから

まずは、東京造形大学サステナブルプロジェクト科の山際教授が「博士」として登場。楽しい雰囲気でコマ撮りアニメーションの仕組みを説明するところから始まりました。

ソニー・エクスプローラサイエンスworkshop

子ども達はグループ分けされ、各グループに1〜2名、サポーターとして東京造形大の学生スタッフがついています。スタッフが明るくアプローチをしても、子ども達の表情は、まだまだ硬い。これがどう変化するかが楽しみです。

仕組みがわかったところで、学生スタッフが事前に作った「うおべえと海のなかまたち」というクレイアニメーションが上映されました。「みんなでこのお話の続きを考えよう!」と、グループワークをスタートさせます。

環境問題をふまえてストーリーを作るという趣旨ですが、環境問題のレクチャーをするのではなく、このムービーを上映したところがとてもいい導入になりました。

クレイアニメーションの完成品の例示、「人間が捨てたゴミのせいで水が汚れ海に住む『うおべえ』達が困っている」という環境問題の背景説明、これから制作するアニメーションのテーマ及び基本設定が、全て一度にできて、子ども達も退屈することなく進行してさすが、です。

スタッフのリードでどんどん進む!

まずは皆でストーリーを考え、登場キャラクターをリストアップします。ここはもう、スタッフの力がすごかった。子ども達の意見を聞きながら、ぐいぐい引っ張ってストーリーをまとめあげます。ここは多少強引に進めないとどうにもならない。まとまったところで、絵コンテもスタッフがどんどん描いていきます。

ソニー・エクスプローラサイエンスworkshop

登場キャラクターは、子ども達が担当してデザイン画を描きます。クレヨンを手にしたあたりから徐々に気持ちがのってきた様子。そして、いよいよ粘土登場です!

ここで、明らかに子どもたちの表情が変わりました。やっぱり手を動かしてこねて作るという作業は、楽しい。自然に会話も生まれ自分でデザインしたキャラクターを次々に粘土で完成させていきます。粘土をこねながら形を考えるのではなく、デザイン→造形というステップを踏むことが新しい経験になったお子さんもいたのではないでしょうか。

ソニー・エクスプローラサイエンスworkshop

さて、開始から約2時間経過したところで、いよいよ撮影スタートです。

スタッフのリードで、ひとコマひとコマ「3,2,1!(カシャッ)」の掛け声と共に撮影を進めます。絵コンテを元に、子ども達は、自分が作ったキャラクターを動かす担当をします。ほんのすこしずつ動かしたり形を変えたり、真剣かつ和やかな雰囲気で進む撮影。

ソニー・エクスプローラサイエンスworkshop

およそ1時間があっという間に過ぎ、いよいよ上映会となりました。

いろいろなアイディアの作品

どのグループも「海をきれいにする」というストーリーは同じでしたが、海の仲間達でゴミ拾い、掃除機で吸い込む、「よごれマン」をやっつける、潜水艦が「アマモ」魚雷で……等々、様々なアイディアのストーリーが出来上がりました。撮影表現も、ぶら下げる、下から飛び出す、吸い込む、吹き出しを使う、など意欲的にチャレンジしています。

前方の大きなスクリーンに自分たちの作品が流れて、子どもたちはうれしそう。そしてどこか誇らし気でした。

ソニー・エクスプローラサイエンスworkshop

最後に、「博士」から、環境問題としての水のお話があって終了。制作した後の子どもたちが、ちょっと堅い話にごく自然に耳を傾けているのが印象的で、ワークショップの最初が講話だったらここまで聞けなかったのでは、と感じました。こうした組み立て、本当に大切ですね。

全体を通して、十分準備されていて、ハードルの高いプログラムが非常にスムーズに進められているのを感じました。

そして何より、子どもたちがコマ撮りの仕組みだけでなく、考えて作って撮るという一連の流れの面白さを実感できたであろうことをとてもうれしく思います。

「いい経験になった」の声

保護者の方にお話を聞くと、もともと粘土の造形や絵を描くのが好きというお子さん、コマ撮りのムービーが好きでよく見ていたというお子さん……等々、お父さんやお母さんが子どもの「好きそう」をキャッチして、「行ってみる?」と声をかけたのが参加のきっかけとなったようです。

親の押し付けではなく、親が見つけた情報を、子どもの興味に合わせて提示してみる、という自然な流れが見えて、いい関係だな、と率直に感じました。

グループで取り組んだり、本格的な機材を使えたり、親でない大人にリードしてもらったり、「家庭でできない経験」ができてありがたい、という声も。お子さんが家で見せない姿も見えたかもしれませんね。

面白さをつなげよう

尚、ワークショップで使ったソフトウェアは専用に開発されたものだそうですが、今は、スマートフォン/タブレット端末用のコマ撮りアプリもいろいろ出ています。

私も子どもと一緒に作ったことがありますが、結構簡単なので、これを読んで興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!!

おすすめコマ撮りアプリの話題は、また次の機会に……。


狩野 さやか

株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブやアプリのデザインを中心に制作全般担当。「ICT toolbox」運営責任として、特に家庭や学校現場でのアイディアや取り組みに注目している。子育て分野では他メディアにコラムを寄稿し、「patomato-ふたりは同時に親になる」を主宰してワークショップ等を行っている。

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